MANKAI寮の天使2 (ページ18)

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天使のバレンタイン2 ページ18

もうすぐバレンタインデーだなんて、すっかり忘れていた。団員のみんなにチョコが欲しいと言われたけど、みんな……特に真澄くんや至さんなんて、学校や職場でたくさん貰いそうなのに、そんなにチョコが好きなのかな？
とにかく、期待されているからには応えようと、本屋さんやネットでレシピをたくさん調べて、みんなへあげるチョコを考えた。三角さんにはサンカクがいいだろうな、とか、十座さんには思いっきり甘いのを、とか、みんなのことを知っているからこそのアイデアが浮かんできて、一人嬉しくなった。

バレンタイン前日は、寮のキッチンをお借りしてチョコ作りに勤しむ私に、いろんな人が声をかけてきた。

臣「A、何か手伝おうか？」
「今回は臣さんは手伝っちゃダメですよ。臣さんへのチョコを作ってるんですから」
臣「はは、そうか。じゃあ楽しみにしてる」
「はい！」

誉「とても甘美な香りだね」
「誉さんのチョコもありますよ」
誉「Aくんの作るチョコならば、さぞかし芸術的な出来栄えになることだろう」
「芸術的かはわかりませんけど、美味しくなるように頑張ります」
誉「期待しているよ」

十座「……甘めえ匂いがする」
「十座さん」
十座「何作ってんだ？」
「それは出来上がるまで秘密ですよ」
十座「そうか。楽しみだ」

入れ替わり立ち代わりみんながキッチンに寄るのも落ち着いてきたころ、ふと隣に誰かが並んだ。

真澄「これ、誰にあげるの」
「団員のみんなだよ」
真澄「俺にもある……？」

珍しく少し自信なさげに聞く真澄くんに、笑って頷く。

「もちろん。でも真澄くん、きっとたくさん貰うよね」
真澄「アンタのチョコ以外いらない」
「ええ？」
真澄「だから……アンタも、俺にだけくれればいいのに」

その表情がなんだか切なく見えて、言葉に詰まってしまった。

「……うーん、みんなにお世話になってるし、そういうわけには」

すると真澄くんは顔を上げて、私を見つめて言った。

真澄「今すぐじゃなくていい。いつかアンタの本命、もらうから」

その真剣な瞳に、思わず心臓が鼓動を速めたことには、気づかないフリをした。