妖たちと暮らす家８

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(おはようございますって元気に挨拶して、あとは...)

駅までの道程は出社してからのシュミレーションで頭がいっぱい。
どうしよう、えっと、まずは、、、どうやってみんなと話してたっけ？
仕事さえちゃんと出来れば大丈夫か...。

はぁ、とため息をつくと頭上からAちゃん！と声がした。

(さかたんとまーしー？)

ぶんぶんと笑顔で箒に跨って手を振るさかたんとその後ろに跨るまーしーが私を見下ろしている。
そのすぐ後にうらたんも大きな羽を羽ばたかせて飛んできた。

「今日からなんやろー？頑張ってなー！」

「何かされたらすぐ言いやー！」

「いつでもやってやんぞー」

子供の様に大きな声で楽しそうに声を上げる3人。
はよ行かな遅刻すんで！とまーしーが駅の方を指差す。
それに笑顔で頷くと、ばいばい！と3人は直ぐに姿を消した。
さっきは地面ばかり見て歩いていた気がする。
彼の言葉と、3人の応援もあってか今はしっかりと前を向けた。
帰ったら彼がいる。
頑張って行けば週末はご褒美デートやでと昨日の夜散々励まして貰った。
あの様子だと仕事していればきっと3人はちょくちょく私の様子を見にくるんだろう。

(頑張ろ)

辛いのも、気まずいのも、最初だけ。
あんなに頑張れとみんなに励まされて頑張らない訳が無い。
沢山働いてそのお給料でまたみんなでピザでも頼んであとはスイーツも買って。
楽しくみんなでご飯したいなぁ。
その為に、まずは前の生活を取り戻す。

しっかり仕事しないと、頑張ったねって甘やかしてくれる彼にも申し訳ない。

『頑張るんやで』

柔らかくて透き通る声は私を奮い立たせてくれる。
背中を押してくれる言葉なのに、いつでも帰ってきていいよって瞳では言っていたような気がして甘やかされてるなぁと感じられた。
無理をさせない、彼の優しさ。

さっさと仕事を終わらせて、おかえりって抱き締めて貰おう。
今日会社どうやった？ってきっといつもの優しい顔で私の愚痴を聞いてくれるはず。
それで、よう頑張ったねってきっと言ってくれるから頭を撫でて貰おう。

(早く帰りたいな)

まだ会社にすら着いていないのに私の頭の中は帰ってからの事でいっぱいで、それ程彼の存在が大きいことを再確認した。

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