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「いやっ、、!」

形相を変えた高瀬さんが横になったままの私の上にのしかかっていた。
足やお腹に関係なく乗られた身体が痛い。
痣の上に乗られているのかズキズキとした痛みで声が出ない。

「俺のもんだ!絶対渡さない!!」

「や、、、!!」

荒らげた声と共に傷の上から手首を思い切り握られると息を呑むような痛さで顔が歪むのがわかる。

(怖い)

どきどきと心臓は早く動くのに身体は動かない。
痛い、離して、怖い...!
乾いていない涙の上にまた新しくその線を辿って濡れた感覚がする。

「Aちゃん!!」

突然軽くなった身体と聞き慣れた声。
上手く身体を動かせずにいると倒れたままの私の目に飛び込んだのは瞳の赤いさかたんだった。

(さかたん、、、?)

茶色の髪とあどけない顔つきははそのままなのに、瞳が真っ赤で知っているさかたんの顔じゃない。

「わかる?!大丈夫?!」

「Aちゃん」

肩を揺らすさかたんの隣には瞳をエメラルドグリーンに濃くしたうらたんがいた。

二人とも私が見てる幻覚だったらどうしよう。
それなら、誰よりも先に彼に来て欲しい。

「くそ、だいぶ弱ってんな」

低く呟いたうらたんの声に視線だけを向けると、睨むように立つ姿と大きな翼が見えた。

「離せ!その子から離れろ!」

化け物!と叫んだ高瀬さんの後ろに、会いたかった人が姿を現した。
琥珀色の瞳は見たことの無い深い色で、冷たく見下ろす顔も初めて見る顔だった。

(センラ...!!)

「Aちゃ、、、」

寝室の中を見渡し私の姿を確認した彼の顔は一瞬で見たことのない怒りを表した形相になった。

来てくれた。
叫ぶ高瀬さんの声が、態度が私の幻想なんかでは無いことを証明していた。

「見たらあかん!」

彼が腕を振り上げるとさかたんのローブに包まれ目の前が真っ暗になった。
やめろセンラ!と慌てたうらたんの大きな声がする。

何が起こってるのかわからない。
でもここに彼やみんなが来てくれた事だけはわかった。
怒声が響き合う中で不思議と恐怖は薄れていく。

一瞬しか見えなかったのに、彼の顔を見た私はもう大丈夫なんだと心の底から安心してしまっていた。

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あーりん(プロフ) - 神楽さん» ありがとうございます( ; _ ; )元の甘々要素に戻したくてふんだんに取り入れていこうとしてます、、、w甘々になってるのか?と自問自答付きですがw (2019年9月21日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
神楽 - 甘々ですな...。最高ですな.........。(語彙力低下中) (2019年9月20日 16時) (レス) id: 007b538a5a (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 無為さん» コメントありがとうございます!離れてさせていた分これからは暫くは穏やかな2人をお送りできればなーと思っております!更新頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 珠菜さん» ありがとうございますー!長いだけのお話なのに一気読みありがとうございます、お疲れ様でした( ; _ ; )これからも楽しんで頂けるように頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ゆうさん» 楽しみにして頂けていて嬉しいです( ; _ ; )!ハラハラしてもらうのが目的だったのでゆう様にそう言って頂けて、伝わってるんだなと安心出来ました!w (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月28日 7時

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