妖たちと暮らす家７

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「Aちゃん、大丈夫？」

彼の声に恐る恐る瞼を開くと肩越しにカーテンが見えた。

(ここ、、、)

「Aちゃん？」

慌てて私の顔を覗き込む彼の顔を見てまた我慢出来ず泣いてしまいそうになる。

(帰ってきた！)

俯くと見慣れたベッドシーツが見えた。
枕元には繋がれたままの私の携帯電話。


(枕、、、)


「センラ！戻りたい！」

「ぇえ？！なんで？！」

戻らないとと焦る私に彼は驚いて慌てていてなんでなん！と繰り返している。

「ブレスレットが、、、」

「ブレスレット？」

迎えに来てくれた事ですっかり忘れていた。
いつも枕に隠していたブレスレットは怖さを紛らわそうとあの時握っていてそのまま置いてきてしまった。

「そんなん、また新しいの買うから」

そんな事かとほっとしたように抱き締められたけど置いてきてしまったことに後悔しかない。
何度も私の沈んだ気持ちを助けてくれた。
一生大事にしようと決めていものなのに。


「ごめんね...」

「謝らんといて。もっと似合うのプレゼントするから」

悔しい。
何で忘れてしまったんだろう。

「泣かへんのー。な？」

ほら、大丈夫やからと優しい声がする。
いつの間にか流れていた涙はまた彼の手で拭われていく。

「Aちゃん」

視線を彼に合わせると唇が重なった。
軽く何度も合わさる唇はさっきあの部屋でされたキスより帰ってきた事もあってか早く気持ちを落ち着かせていく。

「ブレスレットの代わりはいくらでもあるけど、Aちゃんの代わりはおらへんのやで」

「でも、、、大事にしてたのに」

「それはありがと。でも、Aちゃんがこの家に帰ってくることが一番大事なことやから」

だからもう泣かないでと瞼に優しくキスをされて抱き締められると頷くしか無かった。


「大事なこと忘れてた」

「なに、、、？」


しばらく抱き締められたまま背中を撫でられていると急にハッとしたような声がした。
肩から顔を上げると口元を弧にした彼がゆっくりと髪を梳いて口を開いた。

「おかえり」

「、、、ただいま」

強く抱き締めてくれる腕に、いつもの言葉に本当に帰ってきたんだと実感した。

「なぁ、ただいまのちゅーは？」

してへんー！と、わざとおどけてくれる彼の声に笑いたいのに嬉しくて泣いてしまう。

それをわかってか、彼は「ねー、まだなん？」「何回してもらおうかなぁ」といつもの様な甘えた声で私の頭を撫で続けた。

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