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「Aちゃん!」
彼の唇が離されるとすぐさかたんの声がした。
瞳は真っ赤なままだけど心配そうに駆け寄ってくる姿にいつものさかたんが感じられてほっとした。
「大丈夫なん?!話せる?!」
「うるさい。もっと静かに喋ってくれ」
私の頭を肩に埋めるように彼に引き寄せられてさかたんの顔は見えなくなった。
「なっ、、、!心配やんか!」
「やかましい」
Aちゃんびっくりするやろと優しく背中を撫でる大きな手といつもの二人のやりとりに帰れるんだなという安心感が胸に広がっていく。
「坂田、向こうまで聞こえてっから!うるせえ!」
「お前はちょっと落ち着け」
後から入ってきたらしいうらたんとまーしぃの言葉に、だって!と拗ねる様な声を出すさかたんがおかしくて小さく笑うと今までどこか緊張していた彼の雰囲気が柔らかくなった気がした。
「さかたん、ありがと」
大丈夫だよと身体は彼に預けたまま体勢を変えてさかたんの顔を見ると心配そうだった顔はいつもの様に笑ってくれた。
「よかったぁ〜」
しゃがみこんでいたさかたんはそのまま後ろに倒れて身体を伸ばすと容赦なくうらたんに足蹴にされていてそのいつもの光景も私を安心させた。
「生きてて良かった」
「うらたん、、、」
お疲れ様と心底安心した様な顔で頭に手を置かれて、涙腺がまた弛みそうになる。
「Aちゃん、もう大丈夫だよ」
いつの間にか近くにいた天月さんもいつもの爽やかな笑顔をこちらに向けてベッドに腰を降ろしていた。
「、、、なんでなん、志麻くん」
「ちょ、ちょっとまっ、、待ってくれや」
呆れた声を出す彼に不思議に思ってまーしぃを探すと背を向けて肩が揺れている。
なんでお前が泣いてんだよとからかううらたんに泣いてへんし!と怒っているまーしぃの声は震えていた。
「まーしぃ」
はぁ。と大きく息を吸って振り返ったまーしぃの瞳は強く紫に光ったままだったけど、無事で安心したと瞳を濡らしてまで伝えてくれる言葉に私もつられてまた泣いてしまった。
「ほらぁ!志麻くんのせいでー!」
志麻くんが悪いなぁ?と優しく背中を叩く彼の手と声に、今はもう何を言われても何をされても泣いてしまう。
彼の肩に顔を埋めるとすまん!俺のせい?!と慌てるまーしぃの声とおどけてくれているみんなの声がする。
みんな心配してくれていた。
来てくれた。
抱き締めてくれる彼がいる。
数時間前まで感じていた恐怖はもう何処かに消えてしまっていた。
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あーりん(プロフ) - 神楽さん» ありがとうございます( ; _ ; )元の甘々要素に戻したくてふんだんに取り入れていこうとしてます、、、w甘々になってるのか?と自問自答付きですがw (2019年9月21日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
神楽 - 甘々ですな...。最高ですな.........。(語彙力低下中) (2019年9月20日 16時) (レス) id: 007b538a5a (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 無為さん» コメントありがとうございます!離れてさせていた分これからは暫くは穏やかな2人をお送りできればなーと思っております!更新頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 珠菜さん» ありがとうございますー!長いだけのお話なのに一気読みありがとうございます、お疲れ様でした( ; _ ; )これからも楽しんで頂けるように頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ゆうさん» 楽しみにして頂けていて嬉しいです( ; _ ; )!ハラハラしてもらうのが目的だったのでゆう様にそう言って頂けて、伝わってるんだなと安心出来ました!w (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月28日 7時