228:センラside ページ7
こんな時間に電話が掛かってくる事がまずおかしかった。
だからすぐに何かあったんだと思って出ると切羽詰まったような声で名前を呼ばれて今すぐ会社まで行ってしまいたい気持ちになる。
「どうしたん、大丈夫?」
「違うの、声が聞きたかっただけで、」
用事は無い、大丈夫だと頑なに言うAちゃんが嘘をついているのはわかっていたけどそれ以上何も聞けない。
「、、、帰っておいで」
そしたら、すぐに抱き締めてその下手な嘘もつかせないのに。
悲しい?
辛い?
こんな短い時間じゃ、何も出来ない。
離れていては、腕の中に引き寄せる事も出来ないしどんな顔をしているのかもわからない。
「っ、帰れない。今日仕事沢山あるから」
頑張るねと振り絞った震えた声が、泣いているのかいないのかもわからない自分が情けない。
「、、、頑張るんやで」
一人で泣かないで。
迎えに行くから、それまではどうか泣かないで。
泣く程辛い時は、傍にいさせて。
もしかしたらまた掛かってくるかもしれないと携帯を手放せなかった。
「は?」
「なんやこれ」
坂田が郵便受けから取ってきてくれた手紙には付き合う事になったから出て行けと書かれていた。
飛躍した内容にやっぱりこいつは頭がおかしいと再確認するけど内容が心配でAちゃんの昼の声が思い出されて心配になる。
(何言われたんやろ...)
こんな内容を送ってくるということはお昼の電話はこのことだったんじゃないかと胸がザワつく。
何があったかはわからないけど、酷く落ち込んでいたことに変わりない。
迎えに行こう。
これ以上目が届かない所で何かあっては堪らない。
迎えに行った日の、俺を見つけた瞬間のAちゃんの顔が忘れられない。
走って泣きそうな顔でこっちに向かって来る姿に俺がもっとしっかりしないとと思わされた。
お昼にあんな嘘をつかせないくらい、すぐに辛いと言って貰えるような男にならないといけない。
もっと頼って。
もっと甘えて。
もっと困るくらいわがままを言って。
結局涙を見せたのは帰りだけで、家に帰るといつものAちゃんだった。
あれから手紙は届き続けたけど、以前よりは平気そうな素振りで少し安心する。
それでも気に病まないわけが無いから。
幸せに、なって欲しいと思う。
毎日寝顔を見つめながら思うのはこの子の幸せ。
大事にしたい。
笑っていて欲しい。
悲しい思いはして欲しくない。
その為には、何でもするよ。
大丈夫、俺が絶対守るからね。
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あーりん(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!甘い二人が書きたい私としては早くこのシリアスを抜けたい所ですがしばしお付き合い下さい!笑 (2019年8月27日 21時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 更新お疲れさまです(^^)いつも楽しみに待ってます!シリアス展開なのに先が気になってワクワクしていますw更新頑張ってください! (2019年8月27日 16時) (レス) id: 08075475cf (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 怜莉さん» 楽しみに待って頂いているのがすごく嬉しいです!( ;__; )コメント頂けてとても励みになりますー!少しシリアスなお話が続きますがお付き合いよろしくお願いします! (2019年8月27日 15時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
怜莉(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも楽しみで、今か今かと待っていますw個人的になんで話数毎の評価ができないんだーーーーー!!!と嘆いていますwこの先の夢主ちゃんとセンラさんがどうなるか気になります!更新頑張って下さい!待ってます! (2019年8月27日 10時) (レス) id: 0408e10153 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ぷーさん» ありがとうございますー!これからもよろしくお願いします!あと、課題頑張って下さい!!w (2019年8月27日 1時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月8日 4時