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263:センラside ページ42

「センラ、、、ごめん」

「、、、」

笑ったAちゃんを抱き締めたいと腕を伸ばした所で目が覚めた。
寝かされていたらしい俺は寝室にいた。
頬の濡れた感覚で自分が涙を流していた事に驚く。
涙を拭うより先に、さっきまでAちゃんに触れていた掌を眺める。
撫でた髪からは、懐かしい匂いもしていた気がしてもう一度魔法をかけて会わせて欲しかった。


やけに静かな坂田を見てようやく現実に戻ってくることが出来た。

「何でお前も泣いてんねん」

「だって、、、」

センラの見た夢は、俺にも見えたからとローブで顔を隠して坂田も泣いていた。
俺の記憶にある幸せな思い出を見せてやりたかったと坂田は呟いた。
それは当たり前にAちゃんがいて、懐かしい思い出と求めていた感触が確かにそこにはあった。

今思えばきっとあれは、初めてAちゃんを抱いた日。
嬉しくて堪らなくて、幸せだった。
絶対に守ろうと心に決めた日。

「本当はもっと見せるはずやったんやけど」

自分が耐えれなかったと何度も謝られた。

「Aちゃん、いつもセンラの隣であんな顔で笑ってるねん」

「、、、そうやな」

「みんなお前らが笑って幸せそうにしてんのをはよ見たいと思ってる」

鼻を啜ってローブを降ろした坂田の目は、真っ赤になって潤んでいた。
それでも、俺を見る坂田は意志を強くしたような瞳で探しに行こうと口を開く。

「坂田」

「、、、何?」

「ありがとうな」

会いたくて仕方なかった。
触りたくて仕方なかった。
それが夢だとしても。
でも眠る必要の無い俺には夢を見る事なんて出来ない。
夢でも、まやかしでも嬉しかった。

「夢でしか、、、今は会わせてあげられへんから」

ごめんなとまた泣きそうな坂田の背中を叩いて立ち上がる。

「すぐ会える」

「、、、せやな」

探し出してみせる。
代わりなんていないから。

家を出て走り出す足は、さっきよりも軽い気がした。

264→←262:センラside



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設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , 天月   
作品ジャンル:恋愛
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あーりん(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!甘い二人が書きたい私としては早くこのシリアスを抜けたい所ですがしばしお付き合い下さい!笑 (2019年8月27日 21時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 更新お疲れさまです(^^)いつも楽しみに待ってます!シリアス展開なのに先が気になってワクワクしていますw更新頑張ってください! (2019年8月27日 16時) (レス) id: 08075475cf (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 怜莉さん» 楽しみに待って頂いているのがすごく嬉しいです!( ;__; )コメント頂けてとても励みになりますー!少しシリアスなお話が続きますがお付き合いよろしくお願いします! (2019年8月27日 15時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
怜莉(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも楽しみで、今か今かと待っていますw個人的になんで話数毎の評価ができないんだーーーーー!!!と嘆いていますwこの先の夢主ちゃんとセンラさんがどうなるか気になります!更新頑張って下さい!待ってます! (2019年8月27日 10時) (レス) id: 0408e10153 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ぷーさん» ありがとうございますー!これからもよろしくお願いします!あと、課題頑張って下さい!!w (2019年8月27日 1時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月8日 4時

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