186:センラside ページ7
仕事が忙しいのもあるけどあの封筒が届き始めた頃からなんとなく元気のない時があるAちゃんを励ます方法は無いかとずっと考えていたけど、とにかくあの不気味な封筒が届かなくなること以外完全に元気になることを思いつかない。
それでも、楽しそうに笑ってくれるAちゃんの顔が見たくて携帯で色々調べてみても何も出てこない。
(何か、気が紛れること...)
出掛けようにも坂田にお願いしなければ外に出れない。
坂田が直ぐに眠ってしまったことを気にしていたから外でデートをしても優しいAちゃんは遊んでいても気にしてしまうんじゃないだろうか。
それじゃ意味が無い。
俺が中身を見るからもう見るのは辞めようと昨日封を開けなかった封筒の中身は、またおかえりと書かれた紙だった。
(いつ終わるんやろ)
細かく破いてゴミ箱に散った手紙を見て思う。
送ってくるこいつは手紙一つと電話で何がしたいんだろう。
たまに掛かってくる非通知は俺が出ると直ぐに切られてしまう。
Aちゃんが出ると向こうから切る事はしない。
気味の悪い電話もAちゃんを悩ませる一つで、この間は会社にいる間もかかってきたと泣きそうな顔をしていた。
幸せにしたいと思ってるくせに、何も出来ないのが悔しい。
何も無く過ごしていた日がなんだか懐かしい気さえしてきた。
「何でそんなに怒ってるん?」
突然後ろから坂田の声がして振り向くと三人がいた。
「うわ、めっちゃ怒っとるやん」
「こわ」
茶化すように笑う三人にため息が出る。
(呑気でええなぁ)
Aちゃんが買ってくれた服に着替えようといそいそと着替え始める三人をソファでぼんやり眺めていたらテレビから流れるお昼の番組のタレントの声がなんとなく耳に入ってきた。
「ケーキやー。ええなー!」
着替え終わった坂田がかじりつくようにテレビの前に座って毎日行列が出来るというデパ地下のケーキを見ている。
「すげーうまそう」
「女の子めっちゃ並んでるやん」
そりゃ人気のはずやわと口々に話す画面に写ったケーキは小さくて色とりどりな可愛らしいケーキだった。
(そうや...)
一瞬でも、気が紛れるなら。
週末は仕事疲れで俺たちの相手をしてくれるのを申し訳なく思っていたけどせっかく大人数で集まる。
余計な事を考えなくて良くなるかもしれない。
テレビの前で立ち尽くして画面を見たままの三人に、こっちに座れと声をかけた。
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あーりん(プロフ) - 折_こたぬきさん» わー!貴重な男性コメントありがとうございます!!しかもキュンキュンして頂けているとは、、、すごく嬉しいです!!次のお話でも宜しくお願い致します! (2019年8月8日 3時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
折_こたぬき - 初コメ失礼します!初投稿から男子1人でずっとキュンキュンさせてもらってます!これからも更新頑張ってください! (2019年8月8日 2時) (レス) id: 5fe8b549a6 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ☆レム☆さん» 大好きと言って頂けて嬉しいです( ;__; )!長くお付き合い頂いてありがとうございます!もちろんこちらもフォロバさせて頂くので宜しくお願い致します! (2019年8月8日 0時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - またよろしければTwitterのほう、フォローさせていただいてもよろしいでしょうか?長くなってしまい申し訳ありません。これからもずっと応援しております(*^^*) (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - はじめまして、コメント失礼いたします。投稿当初からずっと読ませていただいております。読む度に幸せな気持ちになれるこの作品が本当に大好きです(*^^*)無理はせず、あーりん様のペースで更新なさってくださいね!これからも楽しみにしております! (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年7月14日 15時