妖たちと暮らす家５

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いよいよ明日かぁ、とキャリーバッグに必要な書類や荷物を詰めているのを彼が傍で眺めていた。
きちんと整頓して入れた荷物を目を離した隙に出して邪魔をしてくる。

「ちょっと、センラ！」

「だってー、、、」

さみしいんやもんと拗ねる彼の顔を見ると本気で怒れない。
私だって出来れば行きたくない。

「荷物詰め終わったらほんまに行っちゃう感じすんねんもん」

あー！嫌やわ！と邪魔をするのを諦めたのかフローリングに大の字で寝転んでいる。
あと少しだった荷造りは彼が諦めてくれたおかげですぐに終わった。
むす、と拗ねたまま天井を眺めたままの彼の頭を撫でると拗ねた雰囲気が少し和らいだ気がする。

「Aちゃんもさみしい？」

「さみしいよ」

「センラと離れたくない？」

「そうだね」

そっかー、と機嫌が治ってきたのか頭を撫でていた手を握る彼の目が優しくなってきた。

「明日仕事やけどしたら怒る？」

「、、、明日は朝早いからだめ」

言うと思ったと彼はぱたりと手のひらをフローリングに投げ出してまた拗ね始める。
したいかしたくないかで言えば、私だってさみしいと思ってるししたい(彼には絶対言わないけど)
そんなの自分の口から一生言えないだろうなと拗ねる彼のつむじを体育座りで黙って眺めていると突然大きな声を出すから驚いた。

「甘えたい！」

「わ、びっくりしたー」

「なぁー！甘えたい！さみしい！無理や！」

「どうしたらいいの」

突然起き上がって向き合った彼の言葉に狼狽えると抱き上げられた。

「センラ？」

「一緒にお風呂入るか、今からするか選んで」

(何その二択、、、)

一緒にお風呂なんて恥ずかしいし出来ればどっちも避けたいと思って彼になるべく優しく納得して貰えるような言い方を考えていたら痺れを切らした彼の足は迷わず寝室へ進んでいく。

「え、待って」

「待たれへん」

流されてしまっても別にいいんだけど、良くない。
明日は朝一の新幹線に乗らないといけないしまだお風呂に入ってない。
静かに寝かされ覆い被さった彼の腕を咄嗟に掴んだ。

「お風呂！お風呂一緒に入る！」

「え」

「でも何もしないでね」

「、、、」

どちらか選ぶとしたら仕方ない、こっちだと選んだ答えに先に釘を刺した事で何か企んでいたのか彼の顔はまた拗ねたような顔をしている。

「わかった」

じゃあ一緒に入るとお湯を溜める準備をし始めた彼にギリギリまでどちらも選ばない言い訳を考え続けた。

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