妖たちと暮らす家５

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いつも私が起きると既に起きているかすぐに目覚めてしまうから眠っている彼は珍しい。
小さかった頃の夢のせいか、今の彼に早く起きて欲しくて眠っている彼に小さくキスをした。

「毎日そうやって起こして欲しいんやけど」

「、、、やだ」

唇は軽く合わせただけですぐ離したのにぱちりとしっかり開いた目と視線が合った。
最高、もう一回してと抱き締めてくる彼に寝る子を起こしてしまったと自分の五秒前の行動に後悔する。

「ねー、Aちゃんお願い。もう一回」

「もうしない」

我ながら恥ずかしい事をしてしまったと寝ている彼の胸に顔を埋めるとぇえ〜？と不服そうな声が聞こえる。

「わかった。じゃあこっち向いてくれへん？」

なに？と埋めていた顔を上げると見慣れたアーモンド型の瞳が細められて私を見下ろしていた。

「嬉しかった。ありがと」

大きな手のひらで髪を優しく撫でられると寝起きで掠れた彼の好きやでという声が聞こえて唇が重なる。

一番変わったのは、こんな大人なキスをするようになった私達の関係かもしれない。
あの頃はまさかこうなるなんて微塵も考えてなかった。
ただ、何故か放っておけなくて連れて帰ってしまっただけ。
おばけかもと怯えていたあの頃の自分に今の自分を見せたらどう思うだろう。
絡められる舌だけは温かいとか、私を優しく抱き締める腕の力強さを知るなんて。
この唇にキスをされると安心する生活を送るようになるなんて...

(思ってもなかったなぁ)

「何か他のこと考えてへん？」

いつの間にか触れられていた素肌に手を置いたままいつもと違うと唇を離して拗ねる随分男らしくなった彼。

「センラのこと好きだなーって」

「、、、うそ」

「ほんと」

誤魔化されてる気がすると文句を言う彼はじゃあもっといっぱい俺の名前呼んでと今度は首筋に甘えている。

「センラ」

「もっと」

「センラ」

「なに？」

呼んでと言うから呼んだのに。
他には？と期待するような瞳を無視出来ない。

「、、、すき」

「ふふ、俺も」

好きすぎると低く耳元で囁かれて言葉に出来ない気持ちになる。

「まだ明るいからしないよ」

「それは聞いてあげられへんかも」

可愛い事するからやで、と意地悪く笑う彼に流されてしまう。
今日はなんだか甘えたいしもういいかと大人しく脱がされる私に珍しいと不思議そうな顔をしていた。


もっと名前呼んで、俺の事だけ考えてと幸せな独占欲を吐く唇を引き寄せて離すと彼は私にしか見せない顔で微笑んだ。

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