178(お知らせ有り) ページ44
家の郵便受けにも同じ封筒が入っていた。
二通に増えた封筒に気持ちはどんよりと重くなる。
エレベーターに乗り玄関を開けると彼が手を広げて待っていた。
「おかえり」
「ただいま」
今日は何だか上手く行かず早くこうしたかったと彼の胸に体重を預ける。
ゆっくりと深呼吸して離れると電話で会社に封筒が届いて気分が落ちているのを話したからか先にお風呂済ませてきたら?と頭を撫でられた。
言う通りゆっくり出来る時間を先に作ろうとお風呂を済ませて食事をした後、鞄から封筒を取り出す。
こっちおいでとソファに座る彼の脚の間に座ると二通の封筒は彼に奪われてしまった。
「開けたくないやろ?俺が開けていい?」
うん、と頷くと封筒を眺めている。
「郵便受けにも届いてたん?」
「そう」
「どうせ中身はいつもの紙やろうけどな」
糊付けされた封筒を開けると真っ先に赤色が見えた。
封を開けた彼の手も止まっている。
二つ折りされた紙を取り出すといつもの真っ白な紙ではなく赤色の紙だった。
「気色わる、なんやこれ」
「早く開けよう」
いつもと違う色の紙にどきどきと心臓は早くなる。
ちょっと待ってと私の視界から紙を消した彼が先に見るとため息をついていた。
「何も書いてへん」
「ほんとに?」
見せて、と見てみると本当に何も書かれていなかった。
ただ二つ折りにされただけの紙。
どうせこっちも同じだろうと郵便受けに入っていた封筒を手早く開けると、また彼は動きを止めた。
「、、、」
「ねぇ、何?」
先程と様子の違う彼を見上げるとお腹に回された腕が強まった。
見ない方が良いと言う彼の手元を覗くと何か書いてある。
「見せて」
「ほんまに?」
頷くとゆっくりと目の前に下ろされた真っ赤な紙には、大きな黒い文字で「おかえり」と打ち込んであった。
(なにこれ)
私に向けられたような言葉と赤い紙に気持ちはどんよりと更に重くなる。
「悪戯にしちゃ、悪質やな...」
呟く彼の言葉に返事が出来ない。
不安で彼の手を握ると握り返してくれた。
「捨てずに取っておいた方がいいのかな」
警察に、と話し始めた直後、鞄の中の携帯が鳴った。
--------
お知らせ
妖たちと暮らす家の坂田verを書き始めました。
そちらも楽しんで頂けると幸いです!
820人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時