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(また...?)
みんなが帰った後、お風呂を済ませ彼がお風呂から上がるのを待っている間に郵便物のチェックをしていると見覚えのある封筒がチラシの下から出てきた。
月曜日から毎日届けられるようになった少し大きめのピンクの封筒。
宛名は私で手書きは一切なく無機質な封筒の中身は真っ白な紙が一枚入っているだけで内容はない。
最初は何処かのお店のDMの手違いかと思っていたけど三日も続くと故意にしか思えない。
送り主も書いていない封筒は不気味でなんとも言えない気持ちになる。
(いつまで続くんだろ...)
誰かの悪戯ですぐに終わるものと自分では思っているけど、たった一通の封筒でもいい気持ちにはならない。
早く終わらないかなと封筒を見つめていると後ろから腕が伸びてきて抱きしめられた。
「びっくりしたー。服濡れちゃう」
「乾かして?」
彼の髪から滴る水滴が手に持っていた封筒を濡らした。
「また来たん?」
「そう。また何にも書いてないの」
ドライヤーをセットし、いつもの定位置に座って封筒を眺めている。
髪を乾かしながら彼の顔を盗み見ると封筒の中の真っ白な紙を見て眉間に皺を寄せた。
「何の為にこの紙入れてんねやろ?」
「わかんない。何も書いてないもんね」
紙を天井のライトに透かしてみて、やっぱり何も書いてへんわと封筒にしまう。
封筒もじっくり見ているようだったけどさっき私が見た限りでは今までと変わりは無い。
「前も言うたけど、誰かの悪戯ですぐ終わると思うで」
大丈夫、と私の膝に腕を組んで見上げられる。
そうだねと笑うと甘えるように顔を寝かせた。
乾かし終わって彼の髪をゆっくり梳いていると眠たくなってきたと言う。
「寝なくても大丈夫な身体なのに?」
「んー。Aちゃんと一緒に暮らしてるから俺も人間らしくなってきたかもしれへん」
うとうとと本当に眠そうな彼を見てさっきのもやもやとした気持ちが無くなっていく。
「寝ても運べないから、寝室行こう?」
「んー、、、」
ほら、と腕を引いても起きない彼を揺さぶると顔だけ上げてにやりと笑う。
「ちゅーしてくれたら起きれるかも」
「、、、おやすみ」
ここで寝なよと彼の身体を退けて立ち上がると一緒に寝ると慌てて立ち上がった彼の手を繋いで寝室へ向かった。
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時