154:センラside ページ20
どうしたもんかなぁと俯くAちゃんを見ながら悩む。
今まで契約してきた人間はこうしろああしろと自分の欲望をぶつけてきてわがまま放題だったから言うことを聞けばいいだけだった。
(そもそもあの時は、そいつの気持ちを汲み取ってやろうなんて気は更々無かったけど)
死のうが生きようが自分の妖力の為と契約しただけの人間だ。
はっきり言ってどうでもいい。
(この子はちゃうしなぁ)
魔法を見ても凄いと言うだけで自分の為に使ってくれとお願いしない欲の無い人間だとうらたんと坂田も驚いていた。
わがままを言わないこの子に甘えてもらおうと必死で頑張っているけどまだまだだったかと落胆する。
最近は上手に甘えてくれるようになったと思ったのに。
(センラ)
恥ずかしがり屋なこの子は、言葉で表現するのがあまり得意では無いんだなと思っていた。
一緒に暮らすうちにだんだんわかるようになってきた名前を呼ぶ表情や声色でそれを汲み取ってきたつもりだ。
それは合っていたらしく、頭を撫でたりキスすれば笑ってくれていたのに。
(わからへん)
「Aちゃん」
「なに?」
「何で拗ねてるの?」
呼べば真っ直ぐ見上げてくるAちゃんに可愛いなと思う。
もう考えてもどう言えばいいかわからなかったからストレートに聞いてしまった。
「えっ」
拗ねてるはまずかったかなと思いつつ繋いでいた手を離して頬に指先で触れるとどうやら間違いじゃなかったらしい。
アルコールの火照りではない顔の赤さにやっぱりそうかと安堵した。
「なぁ、妬いてくれたん?」
「違うんですけど」
なんのこと、とまた俯くのすら可愛い。
「そうやったらセンラは嬉しいなーって」
あいつらに聞かせたら何か言われそうだなと思うような自分でも驚く声色でなるべく優しく違う?と聞くと、撫でていた指先を握って頷いてくれた。
「だって、あの女の子可愛かった」
「Aちゃんしか見てないのに。わかってないなぁ?」
さっき言われた言葉をそのまま返すと唇を尖らせた。
「、、、ちゃんと言って」
むす、とむくれる頬にキスしたい衝動に駆られるけど我慢しないとなと周りに視線をやる。
外じゃなかったら抱き締めてもっと甘やかしてあげれるのに。
「嘘やって。ごめん」
Aちゃん以外の人間に興味無いよ、好きやでと耳元で言うとますます頬は染まって早く家に帰りたい気持ちが増した。
(帰ったら好きなだけ甘やかそう)
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時