151:センラside ページ17
「すみません」
「いいえ」
人を避けて歩くという事に慣れてないせいでぶつかってしまった。
そうや、今俺は実在してるんやった。と背筋を伸ばして歩く。
最初は俺が行くと三人とも迎えを頼まれた訳では無いくせに張り切っていた。
様子を見に帰ってきたらセンラが行ってあげたほうがAちゃん喜ぶと思うと口を揃えて言うから驚いた。
「Aちゃん、大変そうやったわ」
会社の飲み会って大変なんやな、と坂田がいつもの服に一瞬にして着替えるから本当に行く気がないんだなと改めて思う。
「狙われてたぞ」
「え?」
「近くに行かなかったから聞こえなかったけど。Aちゃん困ってた」
誰がと聞いても意味深な視線しか寄越さないうらたんにイライラする。
「例のあいつに決まってるやんけ」
話聞いたんやろ?とまーしぃもすっかりいつもの姿に戻っていた。
(例のあいつ...)
二人でランチに行こうとふざけた誘いをしたあいつか、と顔も知らない奴を思い浮かべる。
やっぱり飲み会で何かしらやらかしているのかと気分が悪い。
「はぁ〜。Aちゃんのために頑張るかぁ〜!」
伸びをして杖を取り出した坂田に手を握られてキモイと言うとじゃあやめたとむっとした顔をされた。
「行きたくないん?俺は別にセンラに手を貸す気は無いけど」
「え!」
表に出してくれるのかと素直にもう一度手をやるとお願いの仕方がなってないと偉そうなことを言う。
「、、、お願いします」
「なんやその態度は」
ふふん、と杖を回しながら言う坂田に怒りを覚えるけどここで怒ったら行けなくなると堪える。
何度下手に出ても楽しそうに拒否する坂田に殴ってやろうかと思ったところでうらたんが助けてくれた。
「センラ歩いて行かなきゃいけねーんだから間に合わなかったらAちゃん帰れないかもな」
にじかい?ってやつ連れて行かされそうだったじゃん。といううらたんの言葉にそうやった、としぶしぶ坂田は手に魔法陣を描いた。
あとは服だと来ていた服を流れていたCMのスーツそのままに再現し、鞄と靴もAちゃんが使っていないものを俺用に変えた。
「頑張るけど、90分が限界やで。俺の力が切れたらここに戻ってきてしまうからな」
自分が入る魔法陣をリビングのフローリングに描く坂田に何度も念を押される。
わかったと頷くと坂田は大きく深呼吸して最後の仕上げを描いた。
出来上がった魔法陣と共に淡く光り始めた手の甲にこれで迎えに行けるのかと口端は上がった。
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時