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「Aちゃん」

私を見つけてあからさまにほっとしたような顔で声をかける彼を見てふわふわと可愛らしい雰囲気の女の子は足早に立ち去っていった。

「、、、」

「え、なに?」

え、なに?はこちらの台詞だと思いながら彼の顔を見上げる。

(複雑...)

遠くから彼を見てかっこいいと思った。
それは自分の好きな人だからで正直目を離したら声をかけてくる女の子がいると思っていなくてもやもやする。
彼に声をかけていた女の子は可愛かった。

「なんて言われたの?」

「道聞かれて」

聞きたいような聞きたくないような気持ちで彼の話を頷きながら耳を傾ける。

「俺もわからへんからわかりませんって言うたら」

「うん」

「地図の見方がわからないから一緒に行ってくれませんかって言われて」

「え、うん」

何その意味のわからない話の流れ、ともやもやは濃くなってくる。

「人を待ってるから無理って言うたら、今度ご飯でもどうですかって。LINE教えてって」

「、、、それで?」

「彼女いるからごめんって言うた」

ふーん、と微妙な返事をしてしまった。
彼は私の手を取るとちゃんと断ったよと慌てている。

(それはわかってるんだけど...)

彼に好意を寄せる人がいるということがもやもやの原因だと自分でわかってる。
彼が声をかけたわけじゃないし何も悪くないのに。
可愛い女の子と並んだ彼を見て好きだとあんなに言ってくれているのに不安になってしまった。

「Aちゃん?」

「、、、帰ろっか」

早く二人になりたい。
甘えられるのは自分だけ。
甘やかしてくれるのも自分だけ。
彼の特別は自分だけだと感じたくて繋いだ手を強く握った。

「うん。帰ろ」

優しく握り返してくれた手に、なぜだかわからないけど泣きそうになった。
いろいろありすぎて疲れてるだけ。

(きっと、お酒のせい)

これ切符ねと渡すとありがとうと歩き出した。
週末の駅はいつも以上に賑やかで人も多い。
ぶつからないよう気を使ってくれながら私の歩幅に合わせ歩く彼の優しさにつまらないヤキモチはやめようと二人の足元を見ながら歩いた。

ホームに着くと遅延が出ていて人で溢れかえっている。
もう少しかかりそうだなぁととりあえず最後尾に並んでぼーっと人だかりを眺めた。

151:センラside→←149



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設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , センラ   
作品ジャンル:恋愛
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時

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