104:風邪 ページ18
大丈夫だと思ってたのに...。
(やばい、かも)
身体の怠さが午前中の比ではないくらい辛い。
パソコンの画面を見ているとなんだか眩暈がして度々目を閉じて休憩しないと作業が出来ない。
「Aちゃん、、、Aちゃん!」
「、、っはい」
驚いて声のする方を見ると同僚が心配そうにこちらを向いていた。
「大丈夫?凄く辛そうなんだけど」
「ちょっと、辛いかも、、、」
朝の彼と同じようにおでこに手があてられるとすぐに熱があるねと手が離される。
「インフルエンザ、社内に何人か出たらしいし早退したら?私がやっておくよ」
貸して、と打ち込んでいた資料を半ば無理やり取られてしまった。
傍目から見ても辛そうに見えた上に熱までやっぱりあるのかと溜め息が出る。
「ごめんね、お礼は今度するから」
意地を張らずに病院に行かせて貰おうとデスクを立ち、仕事を引き受けてくれた同僚にお礼を言うと今度ランチ奢ってねと可愛らしく笑っていた。
早退の許可は貰えたものの、こんなに文句を言われなきゃいけないのかというほどネチネチと攻撃された私は会社を出る頃には辛さも倍増したようで身体を引きずって歩いた。
(センラに電話しよう)
すぐに電話に出てくれた彼に病院に行って帰ると言うとどこの病院か聞かれたので答える。
少し彼と話して元気になったような気がして、終わったらすぐに連絡するねと電話を切った。
タクシーで病院に向かうと総合病院だからか待合室の人が溢れかえっている。
予約をしてから来るんだったと端のソファに座り込んで自分の番を待った。
まだまだかかりそうだなと窓の外を見る。
(あれ?)
見間違いかとよく見てみたけどどうやら間違いではないらしい。
ふわふわとうらたんが浮いている。
目が合った私に、シー!と笑うと姿を消してすぐ開いた自動ドアの人の波に紛れてうらたんが入ってきた。
黙って聞いてという意味だろう、また人差し指を口に当てたままのうらたんに小さく頷く。
「センラが心配だから見に行ってくれって。風邪引いたの?大丈夫?」
うらたんのことは周りの人には見えてないから、一人で話している変な人に見えないよう携帯に文字を打ち込む。
『熱出たみたい。大丈夫』
携帯の画面をさりげなく見てくれたうらたんが笑う。
「よかった、センラの言い方だとだいぶ重症みたいな言い方だったぞ」
彼らしいなと笑いそうになるのを咳で誤魔化して口元を手で隠す。
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あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 発狂だなんてありがとうございますw出来る時になるべく更新するようにしているのでこれからもお付き合いお願い致します★ (2019年6月18日 5時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - もう、更新早めで発狂してました (2019年6月17日 19時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 白雨さん» 白雨様ー!ありがとうございます!m(_ _)mキャラクター崩壊も甚だしいですがこれからもよろしくお願い致します! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 赤星になりましたね!おめでとうございます〜!これからの展開も楽しみにしてます(*´艸`) (2019年6月17日 11時) (レス) id: 7f0c200b78 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» ありがとうございます!深夜更新が多いのでご迷惑をおかけするかもしれませんがお付き合いよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年6月16日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月9日 16時