妖たちと暮らす家３

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「あ！Aちゃんと同じやつや！」

「そう。カバー買おうね」

センラへの特別なご褒美として買った携帯電話。
お昼いないのが寂しいと嘆いていたけど、読み書きを理解した彼ならもう連絡手段として使えるだろうと買ってしまった。

「頑張って勉強してたもんね」

「嬉しいー！ありがとう！」

勢いよく座ったまま抱き着かれて後ろに倒れ込みそうになる私を、タイミングよくまーしぃが支えてくれた。

「何貰ったん？」

「スマホ。ええやろ」

「えー！いいなー！」

「お前は使わねーだろ」

わらわらと彼の周りにみんな集まってテレビで見たやつやー、とまた賑やかになった。

「LINEってやつ出来るねやろ？」

キラキラとした目で私を見る彼に、もう設定してあるよと彼の携帯の画面を操作するとまた嬉しそうに笑った。

「どうしよう、めっちゃ嬉しい」

そんなに喜んでくれるとは思わなくて買ってよかったなと嬉しそうに携帯を持つ彼を見て思う。

「こいつうざいくらい連絡しそう」

「ほんまや、Aちゃん迷惑やで」

茶化すうらたんとさかたんにうるさい、あっちいけと怒る彼に、まーしぃだけよかったなと声をかけていた。

家のインターホンが鳴って届いたピザをテーブルの上に広げていくとみんなの目が輝き始める。

「うわー！すごい！めっちゃいい匂いする！」

「お前絶対零すなよ、汚れるぞ」

「Aちゃん、これとビール飲みたいんやけど」

早く食べたいと騒ぐみんなの横でまた携帯に夢中になっている彼にせっかくだしカメラで撮っておいたら？と声をかけると大きく頷く。


「え、ちょっと！私じゃなくて」

「これで寂しくなくなるわ〜」

ピザを撮ったらと言ったつもりだったのに急に私に向けられて撮られた事に焦って彼に消してと言っても嫌だと頑なに断られてしまう。

「ピザも撮る〜」

記念、とテーブルの上を撮るやっと違う方向に向いたカメラにほっとしたけど、疑問が出てきた。

「みんなのこと撮れるの？」

人間の前に姿を表す事が出来ると言っていたけど撮れるんだろうか。

「えー？わからへん。写真に写ったことないしなぁ...」

みんなわからないと首を傾げるからとりあえず自分の携帯でみんなを撮ってみる。

(見えない...)

テーブルの上に広がった大量のピザが物寂しさを物語るくらいみんなをとったのに悲しい写真が出来上がってしまってがっかりする。

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