妖たちと暮らす家【浦島坂田船】

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翌朝アラームで目を覚まして隣を見るとアラームの音に不機嫌そうな顔は無く、相変わらず私に腕を巻き付けて寝る彼の姿があった。

(今日も沢山寝るのかな)

幼さが残る顔を眺めて、さらさらと髪を撫でても起きる様子は全くない。

出勤の準備をして準備は完璧に出来たものの起こすべきか迷う。
起こしても特にすることがあるわけじゃないしなぁ。
メモ書きした所で読めないと思うし、、、。

テレビをつけたままにして、いってきまーす、と小さな声で声をかけて家を出た。


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憂鬱な満員電車を降りて会社に向かう。

(今日から5日間、また頑張らなくちゃなぁ。)


土日の休みに何か用事があって、ということが今まであまり無かったから彼の成長を感じた2日間は刺激があってびっくりしたけど楽しかった。
そもそも、多分普通の人が体験しないことをしてるんだろうし。

初日では考えられなかった甘えたな所を思い出しながらデスクに座ると、早速仕事が降り掛かってくる。

「お休み、随分楽しかったみたいだね？」

何冊にも重なった封筒をデスクに置かれ少し嫌味のような口調で課長に話しかけられる。

「いえ、そんな訳では...」

私だけが休みだったわけじゃないし勝手にさせてくれとは思うが、上司なので顔に出すわけにもいかない。
貼り付けたような笑顔で頑張って答える。

「今週は忙しくなるよ〜、金曜日みたいに帰れないかも」

金曜日、いつも残業する私が仕事を断って帰ったのが気に食わなかったのだろう、ちくちくと攻撃してくる。

「申し訳ありませんでした...」

セクハラもパワハラも我慢しないとここには居られないの、と数少ない課内のお姉さんたちは苦笑いで言っていた。

高いお給料を貰っても幸福度を感じないのは次から次へとくる書類の山と、この小言や上司の心無いセクハラかもしれない。というか、絶対そう。

おはようごさいますと次々出勤してくる課内の人への挨拶もそこそこに自分のコーヒーを入れに給水室に向かう。

彼はもう起きたんだろうか。
起きていないのをびっくりしてるかな。
寂しいと思ってくれるんだろうか。


頭を撫でて嬉しそうな顔をしていたのを思い出すと自然と笑顔になって熱いコーヒーを一口飲んで仕事に取り掛かった。

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