もう一人の ページ48
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『……憂太、って?』
パンダくんの言葉を聞きながら相槌を売っていた私は、彼の口から突然出てきた聞き慣れない「憂太」というワードに首を傾げた。
男の子によくある名前だと思うけど、この学校に憂太なんて名前の人居ないし、停学してる先輩のことなのだろうか……。
私の不思議そうな顔に気が付いた皆は、ハッとしたように顔を見合わせると今度は少しだけ渋そうに眉を下げた。
「もしかしてオマエ、バカから何も聞いてねえのか?」
『え、なに。何の話?』
「……まあ悟のことだし、当然と言えば当然だな」
「しゃけ」
皆の呆れ具合からして、五条先生が絡んでいることだけは理解した。
あの人の説明不足は否めない。いつもトントン拍子で話が流れていくから忘れてしまうけれど、たぶん私はこの学校に入学するにあたっての必要最低事項とやらを何一つ理解出来ていないのだろう。
だからこうして、皆の話についていけなくなることがあるのだ。
「私らの学年にはあと一人、“乙骨”っていう術師がいるんだよ。つっても今海外だから何してるか知らねーけど」
『か、海外……?』
まだ見ぬ同級生が、しかも海外で活躍しているだなんていうスケールの大きさに、私は驚きを隠せずついマヌケな声を出してしまう。
そうなると私の頭の中で「乙骨憂太」という人物に対するイメージがどんどん膨らんでいくのだが、やっぱりその人も皆と同じく強いのだろうか。
ちなみに、自分の中の強いの具現化としては、筋肉があってごつくて背が高くて、一癖あるような人だ。
「憂太もAと同じ転校生なんだ。人当たりの良い奴だから、きっとすぐ打ち解けられるさ。なあ、棘」
「高菜!」
『……そっか。なら安心かも』
とにもかくにも、乙骨くんとやらが怖い人じゃないということは皆の雰囲気から何となく分かった。
いつ帰ってくるのかは分からないけれど、もし顔を合わせることができたなら彼とも仲良くしてみたい。
人付き合いは苦手だけど、皆にこんなにも信頼されている人となら上手くやっていけそうな気がする。
「……ちなみに、真希は憂太と居ると少しだけ丸くなる」
「すじこ」
『え、何その小ネタ。可愛い』
「おい、聞こえてんだよオマエらッ……!」
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いか焼き - さ い こ お です!この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……!今後どうなるかとても楽しみ……!更新頑張ってください!! (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ!これからも、作者さんのペースで頑張って下さい! (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました! (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀛 | 作成日時:2022年1月29日 15時