血の縛り ページ43
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あいつの口元から滴り落ちる血液を、ただぼんやりと眺める。
もうここまで来ると、何が正しい選択かなんて分からなくなった。
……愛とは何か。その愛のために、私は悠仁を助けるのか。
それが悠仁のためなのか、はたまたま自分のためなのかも私には分からない。
『……あんたは結局何がしたいの。私達姉弟を、いたぶっておちょくって、遊びたいだけ？そもそも縛りを儲けることで、あんたに何の利益があるの？』
「快も不快も、全て俺が決めることだ。オマエに言われなくとも、利益を生み出すことなど容易い」
『じゃあ私が縛りを無視して自決したら？』
「……よく言うな。それこそオマエに何の得も無いだろう」
……確かに、宿儺の言っていることは正しい。
だが、それでも私には理解ができないのだ。
コイツは何がしたくて、何を己の快、不快としているのか。
『それは……そうだけど』
「ならばオマエに、拒否する理由は無いだろう」
そんなあいつの声と共に、私の体が見えない何かに押された。
そのまま体は水面へと倒れていき、ビシャッという音を立てて背中が打ち付けられる。
……気配。それが近付いたことすら、私には分からなかった。
伸びた腕を押さえ付けられて、抵抗しようと動かした胴の上に重みがかかる。
『ッ……何のつもりっ』
「生きる上での賢い選択というのは、従うフリをして首を狩る機会を伺うことだ」
『だから今は、あんたに従えって？』
「まあオマエがどう足掻いた所で、俺を意のままに扱えるわけがないがな……」
顎をつたい垂れた血液が、私の口元にシミを作る。
……その瞬間、噛み付くように唇を奪われて、私は咄嗟に体をくねらせた。
口内に広がる錆くさい鉄の味が、ぬるりと舌に絡み付く。
『ッ……や、め』
馬乗りになるアイツの下で声にならない息を吐きながら、私は抵抗する。
しかし体にどれほど力を入れようと、私の上にまたがる宿儺に勝ることはできない。
『あ"ッ……ぐ』
涙で滲む瞳の中に、動じずこちらを見据える赤色が光る。
屈辱にもがき苦しみながら、私が息を吸おうと喉を大きく広げた時。
血液の味を自覚した私の体は、焼かれるほど熱く煮えたぎった。
＿＿＿＿＿＿＿そうやって、早まる鼓動に乱れる息。
あの時よりも痛み苦しむ体は悲鳴を上げて、気が付けば私の意識は真っ暗闇に染まっていた。
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いか焼き - さ い こ お です！この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (
レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……！今後どうなるかとても楽しみ……！更新頑張ってください！！ (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ！これからも、作者さんのペースで頑張って下さい！ (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました！ (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀛 | 作成日時：2022年1月29日 15時
