悲愴 ページ40
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『……っ、』
静けさの中に虫の鳴く声だけが響く夏夜の中、私は自室のベッドに横たわりながら肌触りの良いタオルケットにくるまっている。
あの後五条先生と別れた私は、午後の授業を完全にすっぽかしずっと部屋の中に引きこもっていた。
体を何かに覆われていないと、ふとした時に訪れる孤独という感覚が酷く恐ろしく、ポロリと涙が溢れそうになる。
途中で真希ちゃん達が様子を見に来てくれたのだが、無理を言って帰ってもらったくらいには憔悴しきっていた。
昨日まで飾っていた悠仁の高校の入学式の写真も机の上に伏せたし、誕生日の時にあいつに貰った好きなバンドのキーホルダーも引き出しの奥にしまった。
悠仁に関係のあるもの全てが、私を弱らせるトリガーとなるのだから、もうどうしようもないと思う。
きっと数日もすれば部屋の片付けもしないといけなくなるだろう。
じいちゃんのことだってやらなければいけないことが残っているのに、これから私一人でどうすれば良いのか。
……焦りと悲しみが、私の心の中にこびりついて離れない。
『私のこと……守ってくれるんじゃなかったのかよっ』
枕元に置いてあるティッシュも、そろそろ底を尽きそうだ。
今日一日だけで、果たして何枚のちり紙を無駄にしたのだろうか。
もちろん、ゴミ箱にはこんもりと丸めたティッシュが山を作っている。
人を亡くすことは辛い。特にその別れがあまりにも突然だと、死んだことを受け入れようと思えないから。
それでも故人のためには、辛くともいつかは立ち直らなければいけない。
『……最後まで姉らしいことなんか、ひとつもできなかったな』
……自責の念が、私を襲う。
こうしてあげれば良かった、ああしてあげれば良かった。
そんな後悔は尽きることなく、思い出として脳裏を過ぎるのだ。
なんと残酷で、虚しい世界なのだろう。
私は果たしてこの孤独に、どれほど耐えることができるのだろうか。
『ごめんね、悠仁……』
静かな部屋の中に吸い込まれるように消えた呟き。
……私は腫らした瞼を休めるよう、そっとその目を閉じた。
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はやいところシリアスから抜け出したい。。。
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いか焼き - さ い こ お です!この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……!今後どうなるかとても楽しみ……!更新頑張ってください!! (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ!これからも、作者さんのペースで頑張って下さい! (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました! (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀛 | 作成日時:2022年1月29日 15時