旧道 ページ35
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いかにもな山道を走りながら本道から逸れた脇道を行くと、現れたのは一本の古ぼけたトンネル。
昼間だというのに、辺りは静かで鳥のさえずりすら遠くから聞こえてくるように感じる。
『……いかにもって感じだね』
「しゃけ」
確かに、これなら心霊スポットとして有名になるのもなんとなく分かった気がした。
心なしか空気も冷たいというか、張り詰めた重苦しい雰囲気が漂っている。
もちろんこの道が旧道ということもあり、車通りもあまり良くはない。
夜なんて、それこそ物好きでなければ街灯もないこんな道を通り抜けたりしないだろう。
「大学生グループが肝試しに来て何者かに足を掴まれたり、その後一週間原因不明の発熱に悩まされたり。典型的な呪いの掃き溜めになってることは、間違いなさそうっスね」
『先生は私達にも祓えるくらいって言ってましたけど、どうなんでしょう?』
「呪霊の力は、高く見積もっても二級。上はそう判断してるみたいっス。君達の力があれば大したことはないと思うけど、万が一があってからじゃ遅いっスから、ヤバくなったら早めに判断してくれるとありがたいっス」
『……分かりました』
「しゃけ」
狗巻くんの呪言は強力である分、反動も大きいとパンダくんが言っていたのを思い出す。
より強力な言霊を使えば、格下であっても喉へのダメージは否めない。
だから来る途中のドラッグストアで、彼はのど薬を買っていたのだろう。
今日私が任されているのは、そんな彼のサポートだ。
未完成な反転術式を実践でどれだけ生かせるのか、見極めなければならない。
もちろん足でまといにならないよう気をつけながら、彼の力のケアもしないと。
不器用な私には相当難しいことだろうが、やらなければ何も始まらない。
せっかく五条先生が私にスタートラインに立つための機会を与えてくれたんだ。ものにしなくては。
「それじゃあ、準備は良いっスね」
『……はいっ』
「明太子」
____闇より出でて闇より黒く。その穢れを禊ぎ祓え
そんな新田さんの声と共に、辺りは真夜中のような静寂に包まれていった。
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いか焼き - さ い こ お です!この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……!今後どうなるかとても楽しみ……!更新頑張ってください!! (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ!これからも、作者さんのペースで頑張って下さい! (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました! (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀛 | 作成日時:2022年1月29日 15時