かすり傷 ページ23
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「すげえツラだな、大丈夫か？」
久しぶりに教室に来ることができた私に向けて、隣で椅子の上にあぐらをかいていた真希ちゃんが言った。
あれから数日、とにかく鍛えて、鍛えて、鍛えまくっている。
おかげで呪力操作と体術についてはそれなりに進歩したし、放課後の稽古では夜蛾学長にもお褒めの言葉を戴いた。
しかし、それとは反対に反転術式だけは今だこれといった成果が無い。
これは私の能力と頭の問題だ。硝子さんのせいではないのは明確である。
『ムリムリ……映画地獄からはやっと解放されそうだけど、術式の方はダメだね。全く意味が分からない』
「でもオマエ、呪力の変換まではできんだろ？なんでその先で躓いてんだよ」
『たぶん考え方の問題……結構頭の中スカスカにしてやってるんだけどなあ』
私は真希ちゃんから缶ジュースを受け取りながら、悩み込むように呟いた。
スカスカと言っても、何も考えていないわけではない。
とにかく集中して、変換した呪力を表に出してみることだけに観点を置いているのだけれど、これが全く意味が無いのだ。
「反転術式は高等な呪力コントロールが必要になると聞くし、難しくて当たり前だろう。何も焦ることはないさ」
「高菜！」
『……ありがとう、二人とも』
パンダくんと狗巻くんの言葉に励まされながら、私は真希ちゃんにもらった缶ジュースのフタをカシュッと音を立てて空けた。
シンプルなサイダーのスッキリとした香りが、ふんわりと鼻を掠める。
そして私がその缶に口を付けようとした時、視界の横に映っていた真希ちゃんの動きが一瞬止まった。
「っ……チッ、切った」
『え、大丈夫？』
「別に平気だよ。紙で擦っただけだ」
そう言った真希ちゃんの手元を見ると、右手の人差し指にほんのりと血が滲んでいるのが分かる。
ああこれ、地味に痛いやつ。ピリピリ長引いて痛むんだ。
『ちょっと見せて。絆創膏貼ってあげるよ、うさぎちゃんの』
「いらねーよ……しかもなんでウサギなんだ」
『まあいいからいいから。ほら、手貸して……』
嫌がる真希ちゃんを他所に、彼女の手をとり傷のある人差し指に触れる。
『ん……？』
……その時、一瞬だけぼんやりと私の纏う空気が揺れたようなその感覚を、私は逃さなかった。
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いか焼き - さ い こ お です！この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (
レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……！今後どうなるかとても楽しみ……！更新頑張ってください！！ (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ！これからも、作者さんのペースで頑張って下さい！ (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました！ (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀛 | 作成日時：2022年1月29日 15時
