呪縛 ページ11
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あれから数日間、私は様々な武器を試すため何十回もの鍛錬を続けた。
大体の時間は真希ちゃんが付き合ってくれるけど、彼女が任務で居ない時などは同行していないパンダくんや狗巻くんが相手をしてくれている。
最近は皆との距離感もだいぶ掴めてきたし、動きも初日よりはだいぶ軽くなってきたと真希ちゃんにも言われた。
そして、この数日間の鍛錬を経て分かったことが一つ。
「オマエやっぱ、武具扱うのダメだな。素手のが良い」
『ええ、結局?』
刀から槍、薙刀、多節棍、釘バットなどその他諸々の近接武器を一から順に試して見たものの、どれもしっくりこなかった。
そんな中、唯一真希ちゃんの近くまで接近できたのが、ナックルダスター……俗に言う“メリケンサック”を着用しての戦闘法。
私としては、もう少し格好のつく武器との適性が合うことを想像していた。日本刀とか、鎌とかね。
それなのにメリケンサックって……80年代の不良かよ。
「肉弾戦のことは、私よりパンダに聞いた方が良い。オマエは呪力も使えるだろうし、その方があってるだろ」
『それって、どういう……』
「私には生まれつき呪力がねえ……だから扱うのは呪具。最初から呪いがこもってる武具だ」
真希ちゃんの言葉に、この間の廃ビルの件で悠仁が渡されていた鉈のような武器を思い出す。
呪力が無いということは、彼女は術式も使えない。でもそれをカバーするほどの身体能力を持っているのは確かだ。
呪力だけ持ち合わせて他は何もできない私なんかより、ずっとずっと強い。
「天与呪縛……強大な力を持って生まれてくる代わりに、何かを強制的に犠牲してしまう現象。真希はそのせいで、昔から色々と苦労を強いられてる」
「おいパンダ、余計なこと言うんじゃねーよ」
真希ちゃんがパンダくんの言葉を止めるように低い声で言った。
たぶん彼女には、自分のそんな体質が重荷になっているのだろう。
誰かと違うという事実は、時に人を縛りつける枷となることを私は知っている。
「私にはこの眼鏡がなきゃ、呪いだって見えねえ……不便な体だろ」
『……でも真希ちゃんは強いじゃない。それって、自分の弱味なんて感じさせないくらい努力してきたってことでしょう?そんなの、誰にでもできることじゃないよ』
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いか焼き - さ い こ お です!この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……!今後どうなるかとても楽しみ……!更新頑張ってください!! (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ!これからも、作者さんのペースで頑張って下さい! (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました! (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀛 | 作成日時:2022年1月29日 15時