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紅一点 ページ41

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「……釘崎野薔薇。喜べ男子、紅一点よ」






竹下通り近くのコインロッカーにやって来た私達に向けて、例の少女はそう言ってのけた。

荷物をしまい終わった彼女の手はすっきりとして、伸びた背筋はその可愛らしさをさらに引き立たせている。


……野薔薇ちゃんと言うのか。容姿に似合った可愛らしい名前だ。


そんなことを思いながらも、私は一応この学年の者じゃないので邪魔にならないよう、悠仁達とは一歩引いたところからその光景を眺めていた。






「俺、虎杖悠仁!仙台から!」


「……伏黒恵」






二人の自己紹介を聞くや否や、野薔薇ちゃんの眉がピクリと動いたのが分かった。


見るからにどこか不満げなその表情に、私は知らないフリをする。


年頃の女の子は男子に厳しいものだ……かく言う私の友人も、あの人がかっこ良いその人がかっこ良いと散々言っていた次の日には、相手の不満ばかり垂れているような子だったし。


……とは言え、この時期に夢を持ちすぎると将来に響いてくるので、もっと現実的に考えろというアドバイスを何かの雑誌で読んだことがある。


所謂(いわゆる)「シンデレラコンプレックス」とはまさにそれを拗らせてしまうことを意味するのだろう。






「はーあ……私ってつくづく環境に恵まれないのね」


「……人の顔見てため息ついてる」






つまらなそうに呟いた野薔薇ちゃんに、悠仁が不服そうに言った。


……まあでも、悠仁は無自覚なだけで案外女子ウケ良いんだけどね。

誰に似たんだか知らないけど、本当性格だけはすこぶる良のが意外にも好評価だったらしい。






「て言うか、一年って私含めて3人じゃなかったの?女子が居るなんて話、聞いてないけど」






そう言った野薔薇ちゃんの飴色の瞳が、じとりと悠仁達の奥に居た私に向けられる。

こうなると思って気配を消してたつもりなのに、どうやら全く意味がなかったらしい。






『え……えっと』






この場をどう切り抜けようか迷いながらも、私は目の前に立っていた五条先生に向けて助けを求めるよう、彼の背中を軽くつついた。







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いか焼き - 好きです!!! 最高すぎます、、、応援してます!今から2を読んできます!楽しみすぎる…! (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 宿儺の声が頭の中で聞こえたらワイある意味死んでう( ´ཫ`)って思いながら見ました←めっちゃ面白いです!!応援してます( ˃ ˂ ) (2022年1月25日 0時) (レス) @page31 id: dce21dc0b1 (このIDを非表示/違反報告)
古椎エゴ(プロフ) - Tomorrowさん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスしていたみたいです!知らせていただき助かりました! (2022年1月24日 17時) (レス) id: c3c7b307dc (このIDを非表示/違反報告)
Tomorrow(プロフ) - コメント失礼します。とても面白くて何度も読み返してます!ところでなんですけど、祥子ではなく硝子だった気がします!間違えてたら申し訳ないです! (2022年1月24日 17時) (レス) @page30 id: 81fe567fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白いです!宿儺推しなのでこの話はとても好きです!がんばって書いてくださいね!応援しています! (2022年1月23日 23時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年1月22日 17時

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