松野家三男やってます。9

◎トランプ ページ32

*



松野家の七つ子は今日も今日とてだらけていた。
2階でおそ松は漫画、カラ松は鏡を見て、ハイ松はトランプタワー、
チョロ松はタウンワーク、一松は猫、
十四松とトド松は仲良くジェンガをしていた。



「ハイ松ってさー、趣味がトランプとかある？」



『んー？どうしたの急に』



漫画を読みながら話しかけて来るおそ松に、
ハイ松はトランプタワーをしながらも答えてくれる。



「暇な時とかいっつもトランプタワーしてるしさ。
現に今もトランプタワーやってるし。

……いやお前どんだけタワー作ってんの？」



『え？あ、ホントだ』



おそ松に指摘されたハイ松はようやく自分が
かなり大きなトランプタワーを作っていたことを自覚した。
手元のカードを取ろうとすると、既にトランプカードは無くなってしまい、
ハイ松が崩してカードをバラバラに散らばった。



『趣味とかじゃなくて、ただの暇潰しだよ。
トランプタワーって無心でやると捗るし』



「暇潰しねぇ」



『そうそう。暇潰し』



バラバラになったカードを集めて、
リフルシャッフルをしながら声を弾ませるハイ松。
それよりも軽々とリフルシャッフルをする彼に
おそ松は驚いて目を見開いていた。



『……あ、そうだ。ねぇ、一松。
混ぜたカードの中から1枚選んで欲しいな』



「えっ、な、なんで俺…？他にも居るじゃん…」



『もしかして嫌だった？』



「い、嫌じゃないけど…」



『本当に？じゃあ、好きなカード選んで』



簡単にシャッフルをし、ハイ松は綺麗にトランプを並べる。

面白いことをしているなと思ったのか、他の兄弟たちは
鏡を床に置いたり、ジェンガを放ったらかしたり
雑誌や漫画を閉じて2人を見ていた。

一松が52枚の並べられたカードを凝視していると
彼が抱えていた猫がペタリと1枚のカードを触った。



「お前これが良いの？」



「にゃぁ」



「んじゃこれ」



『じゃあ選んだカードを僕には見せずに
自分達にだけ分かるように見せて。
皆分かったら僕にカードを返してね』



一松が他の兄弟達に猫が選んでくれたカードを見せる。
彼が持っているカードは4のスペードだった。



「はい」



『覚えた？じゃあこれ戻すね』



一松がスペードの4のカードをハイ松に返し、
ハイ松はカードが元々あった場所に戻して
彼らが選んだカードを探していた。



『えーっと、猫が選んでくれたのは、
黒の記号でおまけに数字が小さいカードだね？』



6人はスペードの4を思い出す。

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