松野家三男やってます。9

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『…え、もしかして馬買いに来たの？』



｢そうザンス！ここで馬を買ってミーは大金持ちザンス〜！
うひょひょひょひょ〜！｣



『あー…なるほど…』



｢？なんザンス？その反応は｣



『い、いや…なんでも…』



飼育している馬を見ながらひくついた笑みを浮かべるハイ松に
イヤミは首を傾げながら彼の微妙な反応に気にかかる。
ハイ松は両手を振って彼らに馬を見せる為に身体を退かした。



｢さあ！お馬さん達〜！ミーにお顔を見せてちょうよ！｣



イヤミが楽しげな表情で馬を見た。



｢ヒヒヒヒ…ヒヒヒヒ！｣



そこには牧草を食べながら漫画を読んで大笑いをする馬。
何処となくおそ松に似ていた。



｢フフン…ブルルルル…｣



ワックスを使って鬣を遊ばせて鏡を見る馬。
何処となくカラ松に似ていた。



｢フーーー…｣



背中を向けながら牝馬のあれな本を見ながら、
ティッシュを何度も取っていく馬。
何処となくチョロ松に似ていた。



｢………ブルル…｣



隅で体操座りをしながら暗い表情をする馬。
何処となく一松に似ていた。



｢｢…………｣｣



｢ブルル…ッ！！｣



イヤミとチビ太があまりの衝撃に絶句していると、
一松に似た馬が二人を睨みつけていた。



『こらこらこら、お客様睨んじゃダメだからね？
はい、猫さんだよー。にゃんにゃん』



｢…………｣



二人を睨む一松によく似た馬にハイ松が猫のぬいぐるみを出して
猫の真似をしながらゆらゆらと揺らすと、
一松に似た馬は大人しくなり、ハイ松から貰ったぬいぐるみを抱えた。

だが、イヤミとチビ太をガン見するのは変わらなかった。



｢｢ウヒヒヒ！！｣｣



なんと自分らも馬というのに競馬を見る馬が二頭。
何処となく十四松とトド松に似ていた。
しかし、競馬で負けてしまったのか十四松によく似た馬は馬券を破り、
トド松によく似た馬は大量の涙を流していた。



｢どうしたジョ？どの馬にするジョ？｣



『…馬が気に入るかどうかの話だけどね。
全員言うことを聞いてくれるのかは話が別だけど』



イヤミとチビ太は開いた口が塞がらなかった。

六頭の馬は二人を見て気に入らなかったのか、
彼らに尻を向けて一斉に脱糞をしたのだった。
なんとも言えないオチである。

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