松野家三男やってます。8

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*



『せめて「行ってらっしゃい」の一言ぐらい言ってやれよ！！！




チョロ松が…どんな思いをしておそ松兄さんを見てたと思ってるの…』



｢…………。離せよ、ハイ松｣



泣きそうな声で呟くハイ松だが、おそ松は目をそらして言う。
ハイ松はすぐに聞き入れて掴んでいた服を離して、
2階から出て行こうと襖を開けて口を開いた。



『………僕も、この家出て行くから』



それだけ言い残し、ハイ松は襖を閉めて2階を下りた。



ｰｰｰｰｰｰ




｢ハイ松もこの家を出て行くのか…寂しくなるな｣



『トド松見てたら、居ても立っても居られなくて』



松パーカーを脱いで私服を着たハイ松はボストンバッグを持って、
チョロ松とトド松に続いて家を出て行こうとする。
彼のか口元には絆創膏が貼られていた。



｢…アンタ、凄いね。塾講師のアルバイトって｣



『ちゃんと頑張るよ』



｢ハイ松兄さん、合格おめで盗塁王！｣



『うん。ありが盗塁王』



一松と十四松からもお祝いの言葉と別れの言葉を貰い、
ハイ松は2階を数秒見上げるがすぐに顔を伏せて、
戸を開けて松野家を出て行った。



ｰｰｰｰｰｰｰ



【おんぼろ荘】





｢う…っ…うぅ…｣



夜中のトイレに行こうと涙目で壁に張り付きながら向かっていくと、
その際に誰かが扉を開けた。



｢あ"ぁっ！！｣



それに驚いたトド松は思わず尻もちをついてしまい、
言葉を失いながら扉を開けた主を見る。



｢ダヨーン！！｣



｢ぁ…っ、あ、ぁ…｣



そこにはなんとネグリジェ姿のダヨーンがいた。
ダヨーンも同じアパートに住んでいたみたいだが、
あまりの恐怖映像にトド松は言葉をまともに喋れなかった。



ｰｰｰｰｰｰ



【赤塚学習塾】





｢松野先生、この問題が分からなくて…｣



『あー。そこの問題難しいよね…。
求めたいのは縦の長さと横の長さだから、
この図形の公式を当て嵌めて、この数字をxに置き換えて…』



早速塾講師のアルバイトをするハイ松は
数学の問題が分からない生徒に丁寧に求め方の説明をしていた。
手が止まっていた子供はハイ松の言葉通りに聞いて、
式を求めていくとすらすらと答えが出てきた。



『ここは応用問題として使われることも多いし、
この単元はテスト範囲にも応用として出てくる筈だから
忘れないようにこれと似た問題をやっていこうか』



微笑んで言うハイ松に生徒は「はい」と元気良く答えた。

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