検索窓
今日:32 hit、昨日:117 hit、合計:356,923 hit

33 ガールズトーク ページ34

シルバさんに頭をさげてキッチンを借りた。
久しぶりに毒のはいっていないお菓子を食べたいのだ。胃をコーティングするという他に使い道のない念能力ばかり磨かれている。
小麦粉、ベーキングパウダー、それに粉砂糖。
ひさしく触れていない道具に心が踊る。
魔法使いにでもなった気分だ。



「おまえ、何をたくらんでいるのかしらないけど、料理する気じゃないでしょうね?」



 キキョウさんが変な質問をしてきた。キッチンで他に何をしろと?食べていきますか、と社交辞令で聞いてみる。どうせ断るだろうと思っていたら素直にイスに腰かけられた。あーあ。厄介な客が来ちゃったなぁ。



「わたしとキキョウさんって、似ているらしいですよ」

「え?」

「ゼノさんが言ってました。あはは、黒髪だからですかね」

「嫌味かしら。私とお前が、似てるわけないじゃない」



機械式のスコープがキュインと耳障りな音を立てた。



「憎い、憎い、憎い……ホンット憎たらしい……だってお前は頭がよくて教養があって、愛想を振りまくのがうまくて……私が苦労して身につけたもの全部、当然のような顔で……恵まれるのも大概にしなさいよ」



キキョウさんはドレスの裾をぎゅっと握りしめ、わたしを睨めつける。



「ねえ、わかる?スラム出身の私が、どれだけ努力して、あの人の妻として認められたのか、ゾルディック家の一員として受け入れられたのか……想像を絶する屈辱を味わされたわ。だけど逃げなかった。私はどうしてもあの人の子を生みたかった。トンビは鷹になれなくても、鷹の子を生むことはできるって、証明したかった」



 もしわたしがキルアの子を孕むとしても、暗殺家業に捧げるつもりはない。だからなおのことわたしに名前を分けたくないんだろう。


 どうして。どうして。五人もいるのに、よりによってキルア。次期当主、最有力候補。唯一、銀髪の持ち主。ゾルディックの血を色濃く受け継ぐ子。私の息子。私のキルア。



「お前がキルの子を産んだら……銀髪の子をもっと見られるのかしら」

34 作戦シフトチェンジ→←32 イルミさんとお喋り



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (268 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
520人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

有希(プロフ) - mayaさん» うわあああああ!!!!!(mayaさんへの感謝と次章を読んでいただける喜び)これからもどうぞ本作をよろしくお願いします! (2021年4月5日 20時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - フェルメルトさん» 初めまして、フェルメルトさん!コメありがとうございます。今後とも誤字脱字を見つけられたらソッと教えていただけると嬉しいです。 (2021年4月5日 20時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - うわああああ(感嘆と次回への期待、そしてここまで書いてくれたことへの感謝の叫び) (2021年4月5日 20時) (レス) id: e6b38507b3 (このIDを非表示/違反報告)
フェルメルト - スミマセン!!一話のエラベーターってもしかしてエレベーターじゃないですか?ほんとスミマセン (2021年4月5日 17時) (レス) id: d6649fea10 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - ゾル家にやさしくされるよりぼこされたい、こんな猟奇的なユメショをリアルで好きだと言ってくれてホントに嬉しいです。弊社の夢主はゾル家に対してMなんで何されても喜びます。私個人としてもこの作品が大好きなので、どうぞ選挙編までお付き合いください! (2021年4月1日 21時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:有希 | 作成日時:2021年2月11日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。