検索窓
今日:24 hit、昨日:3 hit、合計:1,393,480 hit

△ ヤンデレ 対処法 ページ21

顔面を思いきり引っ叩いてやったあと、走って逃げて、無人駅のベンチでうずくまっていた。しばらくしてから「やっと見つけた」という声が降ってきた。わたしは顔をあげない。あの子を置いて、なりふり構わず走ってきたのがわかる、泥水でグショグショの草履が見えた。それなら、と思う。それならどうして、わたし以外の子と。


「……どうして、だろうね。Aちゃんに復讐したかったんだと思う。傷つけたかった。だいすきなひとに裏切られた気分を味わせたかった」

「……サイテー」



 笑う善逸のほっぺたに雨粒がつたう。それは涙だったかもしれない。そうだね。俺は最低の男になっちゃった。だけどそうしたのはAちゃんだよ。



「俺は惚れた女にほかの男と駆け落ちする金を払わされたことあるんだ。女性不信になりそうなほどひどい目にいっぱい遭わされてきた。でもその子がしあわせなら、よかった」



だけどAちゃんは違う。



「そんなこと、できない……Aちゃんがほかの男に抱かれると思うだけで、死にそうになる。俺を好きじゃなくなると思うだけで、こわくてたまらない。Aちゃんがほかの男と駆け落ちするなんて言ったら、殺してやる」



 善逸はわたし以上にボロボロになっていた。顔を両手で覆って、くぐもった声で、おそろしい告白をくれる。わたしの知っている我妻善逸はもうどこにもいなかった。わたしの手によって殺されたのだ。



「俺を捨てたら許さない」



 善逸の目は乾いていた。だけど泣いてるようにも見えた。わたしが気づいてないだけで、もうずっと。



「わかってるよ。俺らしくない。俺じゃないみたい。誰かを好きになったことはたくさんあるけど、こんなの初めてだ。Aちゃんは、知らない俺を引きずり出すのが上手いね」



 自分を忘れてしまうほどの強烈な感情、暴力的なまでの執着心。


「Aちゃん教えて、これはなに?」

「それは恋だよ、善逸」



 暗がりの中で腰のあたりをさぐられる。ぎこちなく、だけど確かな手つきで。ああ、そんなに激しくしたら、雨音に声を隠しきれないよ。

△ ふたりきりの寝床※→←△ 憎さあまって愛しさ百倍



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1313 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2158人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー!😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて!今すぐ読んできます!あ、この作品めっちゃ良かったです!好きです!(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:有希 | 作成日時:2019年10月4日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。