△ お館様にケンカ売る ページ19
「意外というか何というか……Aちゃんったら私より年下なのに、殿方から贈り物をもらうなんて大胆よ……」
「そう、それなんですよねぇ」
大正時代の学生は、手紙を渡すことすら、先生に叱られる対象だったらしい。つまり少年少女は恋愛するな、と。そんなの可笑しいよ。古いよ。未来から現れたわたしはそう思う。顔を赤らめる恋柱に「誰かを好きになることに、早いも遅いもないでしょう」と言うと、「……そうね。確かにそうだわ」って笑った。
「そういえばAちゃんはどうして鬼殺隊に入るって決めたの?」
みつりちゃんは期待するみたいに萌黄色をキラキラさせてるけど、もう楽しい恋バナの時間は終わり。わたしは人生を共にする、善逸という殿方をもう見つけているから、目的はそこにない。
「やりたいことがありましてね」
「それは何?」
「一門から鬼を出したら切腹……っていうルールをなくすこと。弟子は人間です。間違いもする。鬼にもなる。育てたからって理由で師匠が責任をとらなければならない……そんな古い規律が許せない」
獪岳の存在によって、じいちゃんは不名誉に腹をきる運命にある。そんなの認めない。じいちゃんを殺めたその規律をぶっ壊してやる。お館様にケンカ売りに行く。
「例えば上弦の月に迫られて、鬼になるか死ぬかで選ぶなら……わたしは鬼になるかもしれない」
その瞬間、義勇さんとみつりちゃんの顔が引きしまった。柱の表情だ。空気が張りつめるあまり、湯のみが割れそうなほどだった。
「どんなことがあろうとも鬼にならない……そう胸を張れるほど、わたしは強くはない。燃えるような瞳と羽織をもつ柱のようには。わたしは師匠を守りたい。わたしのせいで、弟子のオイタで、師匠を傷つけたくないんです」
「本気で言っているの?」
「自分を理解してるのでね。嫌というほどに」
「こんなこと言いたくないけど、隊服にふさわしくないわ。その言葉は」
「……そうですね」
「みつりさんは強くてカッコいいなぁ」って言うと「カッコつけてるだけよAちゃん」ってわたしの肩を抱いた。
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あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー!😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて!今すぐ読んできます!あ、この作品めっちゃ良かったです!好きです!(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2019年10月4日 22時