85 浮気なんてしてないが? ページ40
いやあ、正直に言うとさぁ。教えたら付いてくるだろうからとクラピカにひとりで会いに行って、ずっと内緒にしていたのが、キルアの信頼を裏切るほどのことだとは思わなかったんだよ。幻影旅団員の死亡というフェイクニュースにすっかり意気消沈したクラピカからの「会おう」という旨の連絡の中で、そのことがバレて、キルアがショックを受けるまでわからなかったんだよね。情けない話だけど。
待って、怒らないで。ちょっとは言い訳させてほしい。わたしはずっとキルアのことが大好きだって言葉と全身で表現してきた。だから少しのことでこの想いが疑われることはないと勝手に信じてたんだよ。
「A、本当か?クラピカにひとりで会いに行ったのか?」
「……うん。ごめん。ごめんなさい。軽率だった。反省してる。もう二度とこんな真似しない」
「……別に謝ってほしいわけじゃないんだけど」
「じゃあなんで……そんなに怒ってるの」
「怒ってねーし」
「……」
「……何の話をした?」
「……蜘蛛の話とか」
「とか?他には何を話したんだよ」
「……人生、みたいな」
「ハッ、壮大だな」
嘲るみたいな笑い方だった。銀色の前髪で表情が見えない。胸ぐらをつかまれて引き寄せられる。あ、ぶつかる。他人事のように思った。獰猛なキスにめまいがする。酸素が足りなくて頭の芯がじんじん痺れる。力じゃ敵わなかった。無理やり快感を引きずり出される。押し返してもびくともしない。
「……ッテェ」
くちびるを噛んだところでキルアが顔を離した。どうして、どうして、そんな目でわたしを見るの。いやキルアはどこも見ていない。虚ろな顔をして手の甲で血を拭う。ちょうど夕暮れ時と夜闇の空のように表情が移ろいかわる。
「オレはクラピカに会いに行かない。行けない」
そう言って、わたしまで行かせないつもりなのか、腕をつかまれる。骨がミシミシ軋む。目の前の彼は一体誰なんだろう。こわい。こわいよ。
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有希(プロフ) - mayaさん» いやほんとそれな…!!イル兄は他のどんな作品にもいない魅力的なキャラをしてるから一生バッキュンされてるわ…これからも出来る限り出演していってもらいたいね…! (2021年7月10日 5時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - 表現というか、もはや思ったこと馬鹿正直にぶちまけちゃってるね!強引、配慮がない、しつこいの全てがつまってるイルミに一生バッキュンされてる…… (2021年7月4日 14時) (レス) id: 8486f071d9 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - mayaさん» あのシーン個人的にめちゃくちゃ好きなのでmayaちゃんにギュンしてもらえて嬉しい笑笑 イル兄に甘くて優しいセリフとか言わせたくなくて、それイル兄じゃないし、ああいうぶっとんだ表現をしてくるのがイル兄だろ(偏見)!っていう私の性癖が爆発してたね! (2021年7月4日 8時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - ん’’ん’’!!イルミさんにギュンです…あんなことを言わせるなんて……有希ちゃん強者…!! (2021年7月3日 16時) (レス) id: 8486f071d9 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 名前さんさん» いつもコメントしてくださいよォォォッ!!(血涙)嘘です。今回もらえただけでとても嬉しいですありがとうございます!そんな風に本作のことを言ってもらえると励みになります。どうぞ完結まで末永くよろしくお願いします! (2021年6月12日 8時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2021年4月9日 18時