オウジサマトオヒメサマノコイ【オリジナルNL】

思春期　噂話　※体調不良表現有り ページ8

『風雅と鈴木って付き合ってるんだろ？鈴木選ぶなんて、風雅は相当センス悪いな。』

それは、ある男子たちが言った言葉だった。名前は知らない、確か應治と同じクラスだったと思う。大きな声で発したその言葉は、一年の廊下中に響き渡った。廊下が一瞬シン＿としたあと、すぐにこしょこしょばなしの声が廊下に溢れかえった。

「え〜、そうなの？」

「鈴木さんってあのヘアピンつけてる女の子だよね」

「あんな変わった子が應治くんと!?ショック…」

ざわざわ。
こしょこしょ。
ざわざわ。
こしょこしょ。

みんなが私を注目する。
いろんな視線が私を突き刺している。
嫉妬の目、興味の目、怒りの目、同情の目＿。
まるで無数の蛇に睨まれてるみたいだ。

怖い。

いますぐここから逃げ出したかった。
けど、なぜか足が動かない。体が凍ったみたいに固まってしまう。
冷や汗がつぅ＿＿と私の身体を伝っていく。
息をすることすら難しくなった。私はあわてて意識を呼吸に集中させる。

すう、はあ、
すう、はあ、
すう、
はあ、はあ、はあ。

空気を吸うことができない、いや吸えない。
陰湿な雰囲気の時のそれが、私の口を襲う。
空気が苦い。空気を体の外に慌てて戻そうとして、そのまませき込む。
ごほ、ごほ。

頭がくらくらしてきた。
情報を集めようとしてそのままダウンしてしまったのだろう。
まるで長時間使ったスマホみたいに熱が頭を襲っていく。
じんわりと、でも確実に、脳は溶けていく。

おなかの奥底が痛くなる。
冷たい塊がおなかの中で大きくなる。
ずーんとした痛みが、広がる。

そしてついには意識が遠のいた。









ばたり！









「＿さん、鈴木さん!?大丈夫？」

目が覚めると、そこは保健室のベッドだった。
慌てて起き上がると、少し大きなジャージのズボンを着ていた。
あれ、なんでスカートは？

「あなた、月経が今さっき来たのよ。今週周期なの、忘れてた？」

え、生理はついこの前終わったはずだ。まだ二週間すら経ってないのに、なぜだろう。

「まあいいわ。とりあえず、ナプキン付けてきなさい。次の時間まで休んでていいから」

なんで急に来たんだろう。
もしかして、あの冗談のせいで心どころか体まで異変が起きたのだろうか。
もしそうなら、

私はそこまでオウジサマを愛してるということね‼

嬉しい。
やっぱりこれは真実の愛ということだ。幸福感で心がいっぱいになり、ゾクゾクと快感が体中を巡る。
私はスキップしながらトイレに行った。

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