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出会い 夢のきっかけ ページ1

昔母はよく、お姫様の童話を聞かせてくれた。



「こうして、シンデレラは王子様と幸せになりました。」

「うわぁ…!素敵なお話!」

「ふふ。そうでしょ?お母さんもこのお話大好きなのよ。」

「ねぇお母さん。私にも、カッコいいおうじさまが来るかなぁ?」

「そうねぇ。いい?あなたの名前…愛華は、アナタが誰かにとって愛する一輪の華のような存在でありますようにという願いを込めてつけたの。だからきっと、いい子であればアナタは一輪の華のような存在だと思ってくれるおうじさまがあらわれるはずよ。」

「本当!私、お花のプリンセスになる!おうじさまにむかえてもらうの!」

「頑張ってね。お母さんもアナタのおうじさまを楽しみにしているわ。」

「頑張る!」



最初に読んでくれたのは、シンデレラだった。
私が初めて読んだ恋愛物語。そのキラキラした世界に、幼い私は一目ぼれした。
それからというもの、お母さんにお姫様の物語を聞きたいとお願いし、毎晩私はお姫様の物語に浸った。いつかお姫様の私を、王子様が迎えに来てほしい。それが夢になった。



小学校に入学し、人よりちょっぴり浮いていた私は、同級生の男子にすこしだけいじめられてしまった。


「おい!おはなばたけ!お前まだ王子様とか言ってんのかよ!おかしいぞ!」

「おかしくないもん!いつかおうじさまが迎えてくれるんだもん!」

「きもいんだよ!おはなばたけが、おひめさまになんてなれるわけないだろ!」

「なれ、るもん!!痛いよ!やめてよ!痛い!痛い!」

「ねぇ男子!変だからって女子をけっちゃだめでしょ!」

「わかったよ…しょうがねえなぁ」

男子は、クラスの一番かわいいあの子に注意された瞬間、暴力暴言をやめた。あの子は、先生に注意したことをすごく褒められていた。
けど、私にとってあの子も、クラスの男子たちと同じ存在だった。あの子は否定しなかった。私が変、という言葉を全く否定しなかった。なんなら、放課後に「愛華ちゃんって変だよね」と全く悪気のない、男子たちとは全く違う言い方で同じことを言った。
幼さは時にとてつもなく残酷で、自分がそうだっと思ったことは必ず否定しないし、それを発言してしまう。良し悪しに区別がつかない、天使の顔したか弱い悪魔なのだ。
その幼さは、私にとっての鋭いナイフと同じような存在であった。私もまた、幼く弱い存在だった。だからこそ、悪魔たちの言葉は、私に深く響いた。

出会い おうじさま→



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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 対物性愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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Riruri - シャーロックさん» なるほど、小公女セーラですか…その発想こそなかったですが、言われてみたらそんな気もしてきます。憧れの御方にそう言って貰えるだけでとてつもなく光栄です。オリ小説をもっと増やしてく予定ですので、もし公開した暁には読んでくださると嬉しいです🤭 (5月29日 22時) (レス) id: 7e45e119a7 (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - Riruriさん» 愛華ちゃんは私の大好きな「小公女セーラ」に似ています。いつも夢を信じている前向きな女の子は内側から輝くクリスタルのようで魅力的です。Riruriさんの他作品も読みたいのですが、運悪く元ネタを知らないんですよ💦創作についてもっと語り合いたいのに〜 (5月27日 15時) (レス) id: 64edf4e902 (このIDを非表示/違反報告)
Riruri - シャーロックさん» ワワワまさか読んでくださるとは……!!本当にシャーロックさんの文章からお話まで全てが尊敬と憧れの塊なのでそう言っていただけて感激感謝です😫💕愛華ちゃんはとにかく“プリンセス”の精神で書いてます。そこを感じ取って下さって嬉しいです!! (5月27日 14時) (レス) id: 7e45e119a7 (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - こんばんは!素敵な内容で一気読みしてしまいました。愛華ちゃんの純粋さはRiruriさんの心の美しさが表れているんでしょうね……。王子チャーミーさんが何故喋れるようになったのか、凄く気になっています。更新楽しみにしていますね! (5月25日 21時) (レス) id: 37fed7f1d4 (このIDを非表示/違反報告)
Riruri - 襲さん» ありがとうございます〜!何に使うかまだ決めかねていますが…絶対使います! (2023年1月27日 16時) (レス) id: 3a997f42cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Riruri | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rirurihmp04/  
作成日時:2022年3月9日 20時

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