青色の日記 ページ6
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「A、もし暇やったら下町行かん？」
そう言えば、Aは不思議そうな顔をした。そんな顔にまた胸がどきりと鳴る。
「いや、ええねんけどさ。トントンにちゃんと書類出した？」
「…まあまあそんなんええですやん」
「あかんやろー、ちゃんと出さな」
「ほら、美味い飯屋知っとんねん。奢るからさ」
Aは飯屋というワードにピクリと反応した。どれだけ食べることが好きなんだと内心苦笑した。少し考え込むような素振りを見せたあと、疑うような声で此方を見てきた。
「…飯屋？ほんまに奢り？」
「漢に二言はない」
「うっし、ほんなら行く」
「よっしゃあAとデートやあ」
「あー腹減ったなあ」
デートと言ったことは完全に無視してAは自身の腹を押さえた。また、冗談だと思われてしまったのだろうか。普段の女に対してだらしない自分を想像して、そんな自分を恨んだ。
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「美味かったわ、がちで」
久しぶりに、Aと二人でゆっくりご飯を食べた。最近は二人で、なんてなかったから色々と話せてとても楽しかった。満足げに腹の上に手を置いて撫でる姿に思わず此方も口角があがった。
「やろ？トントンとゾムのお墨付きやから間違いないねん」
「え、ゾムと行ったん？食害されてへん大丈夫？」
「…ふ、そん時に一緒におったコネシマを犠牲にして帰ったったわ」
「うわ可哀想シッマ」
軽く軽蔑するような目で此方を見てくる。あの時は正直危なかったと思う。お互いどうやって自分だけ逃げるか必死に考えた末、僕が読み勝った。あの死にそうなコネシマの顔だけで白飯三杯はいける。
「ほんな帰るか」
「あ、ちょっと待って」
会計を済ませて店の外へ出たあと、また城の方へ向かおうとするAを咄嗟に呼び止めた。まだなにかあるのかと言いたげな顔をしている。しかし、嫌という訳ではなさそうだった。
ああ、なんだか他の女に声をかけるときよりも緊張する。
「…僕、Aにプレゼントしようと思ってさ」
「…はあ？」
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作者名：ﾍｰﾃﾞﾙﾄｸﾞﾚﾃｰﾙ | 作成日時：2025年8月1日 8時
