緑色の日記 ページ24
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「ゾム。一回変わらんで大丈夫か？お前ずっと寝てへんやろ」
しんぺい神の声に見向きもせず、ただ首を振った。Aの側についてからはや数日。時折持ってきてくれる食事をほんの少し食べるだけの生活。そろそろ頭も回らなくなってくる頃だった。それでもこれを続けるのはAの側を離れるのが嫌だったからだった。
「…Aが目覚めたらちゃんと休めよ」
背後に食器の置かれる音がして、気配がなくなればまた辺りは静かになった。そういえば数年前に一度だけ、Aにひどいことをしてしまった。まだ、謝れていない。
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「…なにが悲しくてお前と一緒にやらなあかんねん」
「その文句はグルッペンに言うて」
初の潜入調査、狭いダクトの中で、何故自分は女といるのか。甚だ疑問だった。
「ゾム、ここからは別行動や。くれぐれも…」
「うるさいねん、指図すんな」
この女の言うことを無視して、ダクトから抜け出した。とにかく指図されるのが嫌で、周りの状況も見ずに飛び出してしまった。その結果あっさりとバレてしまい、逃げた。警備が厳しいと聞いていたが案外そんなこともなくて、調子に乗っていた。
再びこの女と合流したが、女は負傷していた。足を撃たれたようで、足を引き摺っていて心底間抜けな奴だと思った。自分よりも経験を積んでいるはずの人間が、自分よりもボロボロになっているのがアホらしかった。心の中で、沢山馬鹿にした。声には出さなかったものの、態度に出ていたのか彼女は自身を卑下してへらりと笑った。
今思えば、あのときの自分の行動や言動がどれだけ幼稚だったか。
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「…あれ、寝とった」
目を開くと、既に外は薄暗くなっていた。どうやら睡眠欲に負けてしまったらしい。Aは、未だ目覚めない様子だった。眠ったことで幾分頭はすっきりとしていた。軽く伸びをして、目を擦る。そしてなんだか無性に話したくなって、口を開いた。
「A、あん時お前が足やられとったんは俺がやられへんよう必死に守ってくれたからやろ。やのにお前はそれを言わんかった」
「ほんで俺、ずっと謝りたかってん。やけど、ずっと誤魔化しとった」
「Aぐらいやで。女で大切なん」
「どうせ気付いてへんねやろ。お前はそういう奴やから」
「…目覚めたら、あん時のこと、ちゃんと謝る。はよ起きろよ、俺待つん好きちゃうから」
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作者名：ﾍｰﾃﾞﾙﾄｸﾞﾚﾃｰﾙ | 作成日時：2025年8月1日 8時
