茶色の日記 ページ18
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「人には得意不得意がある。例えば…グルッペンは人を纏める才能、政治や経済に関する知識がエグいぐらいあるから、何もないところから此処まで上り詰めることができた。オスマンも、ぺ神も、鬱も、皆んなそう。苦手なところを補い合って今この国が成り立っている」
「…」
「エミさんは、いつも戦略練ってるよな、ロボロとかと一緒に、どんな事態も想定して、膨大な戦略を」
何も言えなかった。全て見透かされていた。自分の短所も、気持ちも。本来は彼女を支えるべき立場にあるはずだったのに。
「エミさんは頭脳戦に長けている。それは誰もが知っている。やって、あの鬱が褒めるぐらいやで？あとは戦艦に関する知識も。あれはほんまドン引きレベル…あとは＿」
誰よりも人のことをよく見ていて優しい人、なんて言うものだから思わず笑ってしまった。それは間違いなくAさんであって自分ではない、が言っても彼女は聞かないのだろう。
いつの間にか、胸の奥にあった何かは取れていた。今自分がこうあれたのは、彼女が背中を押してくれるからだ。やはり、この人は人を変える天才だ。
「そうそう、笑っとったらええよ。私のためにって行動してくれることが、私にとっては一番嬉しいことやから。わざわざ茶会以外で手作りのお菓子貰ったんはエミさんが初めてやで」
「…ふふ、そうですか」
「ああ、それとさっきエミさんが提案してきたことやけど、迷惑ちゃうかったら！」
「ええ、勿論ですとも。迷惑なんかじゃありませんし、いつでもお菓子を用意しましょう」
この場所が、俺自身が、貴方の心の居場所であれるように。
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…最近、昇級した後輩のショッピくんがよくAさんといるのを見かける。つい先日も、図書館で一緒に作業していた。そんな姿を見て嫉妬している自分が酷く醜く感じた。綺麗と言われたこの瞳も、どこか濁っているような気がして仕方がない。
貴方と話すとき、不安になるんです。この濁りがバレてしまって、愛想尽かされるのではないかと。ショッピくんは、貴方にとても優しいから、貴方は好きになってしまうのでないかと。
「それならいっそ、ショッピくんも、グルッペンさんも、皆んな好きにならないで下さい。勿論、俺のことも」
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作者名：ﾍｰﾃﾞﾙﾄｸﾞﾚﾃｰﾙ | 作成日時：2025年8月1日 8時
