古びた日記帳【旧d!】 (ページ1)

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表紙ページ1

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　それは世界一の軍事国、我々国の本拠地である城での事だった。

つい先日、元は一般兵であった男が実力を見込まれて幹部へと昇格した。男は見学と称して城の中を回ってみていたときに、ふとこの城内にはそぐわない古めかしい木製の扉が目に入った。

好奇心に心を擽られた男は周囲に誰も居ないことを確認したあと、少し重たい扉を体重をかけて押し、恐る恐る中へと入っていった。

　中はとても暗く、灯りは天井から一つのランプが吊るされているのみ。男はポケットから昇進祝いで貰ったジッポライターを取り出してそれに火をつけて辺りを照らした。

そこは物置のようだった。埃を被った木箱が幾つも放置されており、さほど広くはない。木箱の中身は訳の分からないものが大量に入っているばかり。時折、何十年も前に製造されたであろうワインが出てきたときは手が出そうになった。

余りに色々あるものだから、楽しくなった男は時が経つのも忘れるほど、夢中になって中を漁っていた。

　ふと、背後から何かが落ちる音がした。誰か来たのかと驚いて振り返ればそこには古びた日記が落ちていた。黒染めされた革製の日記帳のようで随分ボロボロになっていた。

罪悪感から一瞬それを手に取ることを躊躇ったが、それ以上に好奇心が勝り、男は誰のものかも分からない日記を手に取り、そっと、表紙に手をかけた。