アイスのように�� ページ9
『清海A』
『あっ、影片先輩！』
手芸部室にスマホを忘れた。
部室棟を出るときに気づき、急いで戻ると、影片先輩が手芸部室前にいるのを見つけて声をかける。
彼の手には私のスマホが握られていた。
『ごめんなさい、忘れちゃって。』
「……んあ、全然ええよ。気をつけてな、」
『？ はい。』
さっきより元気のない様子。
斎宮さんに叱られでもしたんだろうか。
他人行儀にお辞儀しつつ、スマホを受け取ってからその場を離れようと踵を返すと、ぱしっと手首を握られた。
「なあ、Aちゃん。」
『えっと……』
「Aちゃんは、裏切らんよな？」
震えた声、怯えた表情。
彼にこんな顔を向けられたのは、初対面ぶりだ。
「さっき、見ちゃったんよ。『なずな兄ィ』と友達なんやろ？」
『……に〜ちゃんですか？ 親しくさせてもらってます、けど。』
「おれらのこと、裏切らん？ お師さんのこと、傷つけん？」
揺れる瞳には、冷徹な火が灯っている。
まるで、『に〜ちゃんは裏切った』みたいな言い方だ。
アイドルたちの関係について、あまり踏みこめていない私には、知らないことだけど。
これは、『下手に触れたらまずいもの』だと思う。
『……もちろん。私もプロデューサーですし、アイドルたちに最大限尽くすつもりです。影片先輩も、斎宮さんも、同様に。』
「ほんま？ おれらのこと、見捨てたりせん？」
『ほんとです。いつだってアイドルのために、私はここにいます。』
「……ほっかぁ、なら、ええね。」
すうっ、と私の手首を掴んでいた手の力が抜ける。
それと同時に、また私のスマホは振動した。
『ぅわっ、』
「なずな兄ィもしつこいなぁ。」
『あー、いや。先に教室に来てたっぽいです。「会えた？」ってメッセージがめっちゃきた。』
に〜ちゃんからは、《ガーデンテラスで席は取ったぞ！》という新規メッセージが一件。
他のは友也、創、あとひなたか。
『それじゃあ私はもう行きますね。』
「……おん。」
『影片先輩、また一緒にご飯とか食べましょう。』
「！ おん！ お師さんと三人でな、約束！」
不安げな表情は引っこんで、嬉しそうに小指を出してくる。
そこに私の小指を絡め、お馴染みの言葉を言った。
「『ゆーびきーりげーんまん、うーそついたら針千本飲ーますっ、指切った！』」
にひっ、と笑う影片先輩。
子どもみたいな雰囲気に、つられて私も笑ってしまった。
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生しょうが(プロフ) - にゃーちゃんさん» うわぁぁ！更新できず申し訳ないです！！面白いだなんて照れますね…！これからも読んでくれると嬉しいです！！ (2022年12月17日 12時) (
レス) @page26 id: 9fefad8449 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します！とても面白くて、引き込まれる様に一話から最後まで全部読んでしまいました…!!続きがとても気になります！更新頑張って下さい、楽しみにしてます！ (2022年12月14日 15時) (レス) @page25 id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
生しょうが(プロフ) - 空桜さん» こ、こんな長編を一気読み…!?（大歓喜）ハマっていただけて嬉しいです！あとちょっとで投稿ペースも戻ると思うので、これからも見守っていてください…！笑 (2022年11月23日 20時) (レス) id: 1856a8e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 初めまして、更新お疲れ様です。昨日から一気読みするくらいハマってしまいました笑 イベントやスカウトを交えつつオリジナルのお話を読める作品は中々なかったので新鮮です。お知らせも読みました。ご自身のペースで無理はなさらずに頑張って下さい (2022年11月19日 21時) (レス) id: bedbd72616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生しょうが x他1人 | 作成日時：2022年10月29日 16時
