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絶対的強者《2→Ki》6 ページ34

襖の向こうの少し籠った声に耳を傾ける。


「マジでビックリしたわー。Aがニカの彼女だなんてなー。アハハ」

「……ちょっと、失礼だからね?」

「どっちにだよ?」

「高嗣にだよ。」


Aがオレの名前を呼ぶ声に、胸の奥がギュッとなった。


立ち聞きなんてカッコ悪い。

そんな事、わかってる。


「私なんかに、勿体ない。……高嗣、すごい、優しいもん。」


Aがオレのことを誰かに話すところなんて、なかなか聞けないから。
自分にそう言い訳して、でも、半分は本心で、そのまま襖の前に立ち尽くした。



「…………幸せ?」



聞いたことない様な、優しいミツの声。



「……うん。」



ミツの問いに答えるAの表情が見えないのが、残念。


聞こえなくなった会話に、フッと深呼吸して、襖を開けた。



細く開いていく小さな空間。

向かい合って座る二人。



あっ……



オレに気づいて振り向く直前。

二人の視線は、あのカフェにいた学生みたいで……。



自称察する能力高めなオレは、

それだけで、




もう、全部わかってしまった。




「おかえり。」

「長かったなー、大の方?イヒヒ」


愛しいカノジョの声。
尊敬する先輩のイジり。


「……ただいま。オシッコって言ったじゃん。」


優しい彼氏の声。
可愛い後輩の返事。



オレの知らない、二人の時間。

オレの知らない、二人の気持ち。



「A、ちょっと、飲みすぎじゃない?」

Aの隣に座って、カノジョの前から、まだ、カシスオレンジが半分程残ったグラスを取り上げる。


「まだ、3杯目だよ?大丈夫だって。」


ほんのり赤い頬に、指先で触れる。


オレの物だよ。


「……ダメ。次は、烏龍茶にして。」


取り上げたグラスに口付けて、一気に飲み干す。



Aのことを心配するのも

Aの世話を焼くのも

Aにわがまま言えるのも



オレだけだから



さっきより少し近く、Aとの距離をつめた。




「ンハハ ……いや、A、だいぶ飲めるようになったと思うぜ?」




自分のビールのジョッキを爪先で弾くように音を立てて、ミツが言った。



それは、

オレの知らないAとオレのAを比べる、

ミツにしか言えないこと。




「知ったような口聞いてんじゃねぇよ!」




自分でも驚くほど、反射的に噛みついた。

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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです!こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました! (2020年7月31日 17時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん!(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん!!!お久しぶりです!お元気でしょうか? そうなんです!星に願いをに続いて、運命なんです!伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです!!これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました!! (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな?と。楽しんでいただけて良かったです! (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:植尾あい | 作成日時:2018年9月12日 22時

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