絶対的強者《2→Ki》5 ページ33
「え？マジ？！マジか、ニカ！あーーーー！」
「オレのカノジョ。」
靴を脱いで、とびきりのドヤ顔でAの手を引いた。
キチンと靴を揃えて、なんならオレの靴も揃えてくれて、それからゆっくりと振り向くAの髪が、ふわりと揺れて甘い香りを放つ。
「…………えっとぉ。」
緊張気味に俯くAの背中に手を添えるように触れると、ビクッと肩をすくめた。
「え？あれ？
…………A？」
ビックリの次は、羨ましがらせる予定だったのに。
「は？」
何故かオレがビックリする番になってて、Aの顔を見れば、困ったように笑った。
「……知り合い？」
ミツを指させば「先輩に指さすなよ」って、ミツがゲラゲラ笑った。
「……あ、うん。大学の、……先輩。」
「とりあえず、座れって。」
手招きするミツは、何だか楽しそうで、襖を閉めると、緩く切り離された世界がどこか居心地悪く感じた。
＊＊＊
それでも、隣に座るAは、いつも通りオレの世話を焼いたり、ミツの話を頷きながら聞いたり、楽しそうではあった。
何杯目かのビールを飲み干した頃には、オレも居心地の悪さなんてすっかり忘れて、自慢の彼女が尊敬する先輩と仲良くしてくれるのもいいものだなぁ、なんて思いながら、焼き鳥をかじった。
「オシッコ行ってくるー。」
「ちょっと、高嗣！言い方！」
だいぶビールが貯まったお腹に、わざと子供みたいに言えば、Aが怖くもない怒り顔で頬を膨らます。
少しだけ酔いの回った頭で、立ち上がると、Aのその頬を潰して、御手洗に向かった。
襖を開ければ、店内は、まだ満席で、話し声と笑い声が飛び交っていた。
Aとミツ、同じ大学だったのか……。
オレより先に、Aと出会ってたなんて、なんか、ズルい。
「……ﾁｪｯ」
どうしようもない過去に嫉妬。
でも、今、この瞬間、Aの一番近くにいるのは自分だって、自分を励ます。
ん？まてよ？
大学生の時のミツ、絶対、チャラい！！！
今より10倍……いや、100倍は、チャラかったはずだ！
ミツ……もしかして、Aのこと好きだったとか、ない？
……ヤバい
今、二人きりじゃね？
手を洗いながら、急に、不安に駆られて早足で個室に戻ると、ミツの笑い声とAの不貞腐れるような話し声が聞こえた。
襖に掛けた指先は、金縛りにあったみたいに動かなくなって、ザワつく店内の音は、遠のいていった。
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです！こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました！ (2020年7月31日 17時) (
レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん！(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん！！！お久しぶりです！お元気でしょうか？ そうなんです！星に願いをに続いて、運命なんです！伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです！！これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました！！ (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな？と。楽しんでいただけて良かったです！ (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2018年9月12日 22時
