絶対的強者《2→Ki》1 ページ29
画面に表示された『ミツ(企業営業 北山)』を見つめながら、心の中で出るべきか悩む。
一応、先輩だしなぁ……、一応……。
通話をタップすると、途端に、ミツが喋り出す。
「あ、ニカ？今どこ？飯行かね？」
うん、ニカだよ！
今、本屋だよ！
残念ながら、カノジョと待ち合わせ中だよ！
どの質問にも答える隙を与えてくれないテンポで、ミツが一方的に要件を伝えてくる電話。
「おぉい、聞いてんのかよぉ。」
鼻に掛かった声で、甘えるみたいに語尾を伸ばす。
「……聞いてるよ。」
職場の先輩だから、仕事上の上司だから、って、敬語を使ってた自分とは、かなり前にサヨナラした。
今は、年上の友達感覚。
「あそこ、あの地鶏の店。わかるよな？」
「は？まだ、行くって言ってないけど？」
「えーーーー、来いよー。ﾝﾊﾊ」
ワガママ上司め。
知ってるぞ、こういうのパワハラっていうんだぞ！
確かに仕事はできるし、美味しい店も知ってるし、後輩の面倒見もいいし、まぁ、適度にチャラくてモテる。
モテる……けど、
でもな！
オレの方が、1歩リードだわ！！！
スマホの向こうで、オレに向かって「来たくなーるー」って、呪文を唱えるミツに、心の中で高笑いする。
いいこと考えたー！
「ﾝﾌ わかった！」
チラりと時計を見て、到着時間をざっくり計算する。「まってっぞー。」って、また、一方的に電話は切られた。
「…………自慢していい？」
目の前のスキューバ雑誌を手に取って、隣で雑誌の棚を整理してるエプロンを着けた書店員さんに、小声で聞く。
「ん？……何の話？」
キュッと色気のないヘアゴムで束ねられた髪を揺らして、オレの方へ顔を向けるカノジョ。
「Aのこと。」
「ん？」
今まで制服萌えとかしたことなかったけど、Aが書店員って知った時、絶対に似合う！！！って、思った。
暗めの髪色も、透けるみたいに白い肌も、本のページをめくる細い指先も。
「ん、何でもない。」
「何それ……ﾝﾌﾌ。よし！終わり！着替えてくるね。」
「うん。」
本屋独特の紙の匂いと、静かにザワつく空気。
時々、平積みになった本を整えながら遠ざかっていくカノジョの後ろ姿。
カノジョのいないミツ。
カノジョのいるオレ。
自慢のカノジョ。
今夜は、オレが絶対的強者。
.
絶対的強者《2→Ki》2→←梅雨《after story of キミ声》4
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植尾あい(プロフ) - nanacoさん» んふんふ(//∇//)楽しんでいただけたようでよかったです！こういう雰囲気は、藤ヶ谷くんが似合いますよねぇ。また、イチャイチャするだけのお話を書きたいなーと、思いました！ (2020年7月31日 17時) (
レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 甘々藤ヶ谷さん！(//∇//) ごちそうさまでした、最高すぎます…(TT) ありがとうございます(TT) (2020年7月30日 23時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナナさん» ナナさん！！！お久しぶりです！お元気でしょうか？ そうなんです！星に願いをに続いて、運命なんです！伝わってよかった(^^) 切ないけど幸せな気持ちになってもらえたら嬉しいです。 (2020年5月30日 13時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - あいさんお久しぶりです！！これは運命…と気づいた瞬間に涙が…。心がポッと暖かくなりました！！ (2020年5月30日 1時) (レス) id: 3bad9f733c (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ソフィアさん» 年下俺様生意気な渉に迫られて、メロメロですよね。年上イメージがある横尾くんですが、こんな関係も時にはありかな？と。楽しんでいただけて良かったです！ (2020年5月8日 22時) (レス) id: 3c990321a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2018年9月12日 22時
