恋人はサンタクロース《2》1 ページ9
イルミネーションが施された街中の広場。そして、私の隣には、大好きな人。
そう、クリスマスは、恋人達にとって、年に一度の特別な日。
手を伸ばせば掴めそうな星のように、煌めく灯りを……
煌めく灯りを……
離れた車の中から、その窓越しに眺める。
｢……綺麗だね。｣
私の言葉に、運転席の彼が助手席の窓に身を乗り出して、窓の外を見る。
｢スッゲーデカいな、クリスマスツリー。｣
そびえるようなクリスマスツリー。
カップルや、会社帰りのＯＬさんたちが、その前で楽しそうに記念写真を撮っていた。
私だって、あんな風に頬を寄せあって写真撮りたいよ……。
でも、そんな普通のことが、私たちには難しい。
目の前の彼の横顔。
キラキラ輝く瞳と、かわいいアヒル口。
｢二階堂くんの目にクリスマスツリーが映ってる。｣
彼は、アイドルだから。
私の言葉に照れ笑いをして、運転席に戻ると、得意のイタズラっ子な顔で唇の端を上げる。
｢Aちゃん！｣
｢な、なに？｣
｢願い事言って？｣
彼の思考は、いつでも急ハンドルで、時々ついていけない。
｢え？願い事？それは、七夕…｣
｢いいからっ！早くっ！｣
私のツッコミを無理矢理かわして、何故かワクワク顔で私の言葉を待っている。
｢……ツリーの所で、写真撮りたい。｣
私の願い事が、二階堂くんの耳に届くと、ワクワクの表情が、一気に私の大好きな笑顔になる。
そして、待ってましたと言わんばかりに、後部座席に置いてあった紙袋を引き寄せて、その中身を引っ張り出すと、その中の一つを被って言った。
｢ニカサンタに任せなさい！｣
真っ赤なサンタ帽子を被った二階堂くんは、紛れもなく私のサンタに変身して、若干の不安と期待に胸が弾んだ。
｢どうするの？なんか、嫌な予感しかしないんだけど……｣
｢何でだよっ！
ほら、Aちゃんは、コレ！｣
そう言って、二階堂くんは、サンタ風の白いファーの付いた真っ赤なフード付きケープを私の肩に掛けて、顎の下でリボンを結んでくれる。
｢……変装のつもり？｣
フードの端をつかんで、私の頭に被せると、質問には答えず、ただ、｢ほら！可愛い！｣って、恥ずかしげもなく言って、笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 884人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
植尾あい(プロフ) - はんちゃんさん» ありがとうございます！チャラみつとの約束が果たされたのか、確かに気になりますよね。何万人といるファンから、主人公ちゃんを見つけることができたのか……書いてみたくなりました！リクエストありがとうございます！ (2019年2月12日 20時) (
レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
はんちゃん(プロフ) - はじめまして。どれも素敵です！！けど、チャラみつの「夜明けのキセキ」1ページにギュッと詰まってますね、1ページですごく惹き付けられました。上手く言えないけど、すごいですね！このエピソードで、話膨らませて続き読ませて欲しいです！ (2019年2月10日 1時) (レス) id: 0785dd2a14 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ひよさん» 意地悪な玉森先輩、初めて書いたのでいじわる加減がわからず……でも、キュンとしてもらえてよかったです！卒業シーズンのソワソワと切なさに、自分でもキュンとしました(笑) 初めてTwitterでのメンバー投票だったのですが、私も楽しかったので、また、やります！ (2018年3月9日 15時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - hitomin0921さん» 『好きか嫌いか……』シリーズは、メンバーとの距離感が難しくて、でも、切なくてキュンとするシチュエーションで、書いてる私もドキドキしてます(笑) きっと、横尾くんは、起きていたと思いますよねﾝﾌﾌ 他のメンバーも楽しみにしていて下さいね！ (2018年3月8日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - はぁぁぁぁぁ玉森先輩好きです。玉ちゃんに一票投じたものです。幼なじみのお話だけど今の時期のお話で甘酸っぱくてキュンとしちゃいました。ちょっと続きを妄想しちゃいます！ (2018年3月8日 22時) (レス) id: a35722cf0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：植尾あい
| 作成日時：2015年7月16日 22時
