SOS《Ki》2 ページ39
「……何があった?」
「友達とご飯食べてたら、タケルから電話がかかってきてね。すぐ来てって……。」
甘えじゃなくて、自己中。
「タケル、私が外でお酒飲むの、嫌みたいで……。」
心配を通り過ぎて、束縛。
「タケルのマンション着いたら、お酒の臭いがするって……、バスルームに連れていかれて……。」
聞きたくない事実を、オレは、何度も聞かされる。
「男と飲んでたんだろって……、違うって言っても信じてくれなくて……。」
Aの言葉で、オレの脳が想像する地獄。
「……フフ、お気に入りのスカートだったのに……、ビッチャビチャ。」
自分の事なのに、どこか他人事の様に話すAには、もう、恋とか愛とかの感覚は、きっと、無い。
ただ、アイツに支配された心が、アイツの存在に見捨てられる恐怖で、A自身の感情を殺してしまった。
「……着るものあんの?」
「うん。前に置いていった服……あったから。」
薄暗い部屋で、ひとりぼっちで、スマホだけが頼りで、無責任に濡らされたお気に入りの服を握りしめたAが容易く想像できて苛立つ。
ベッドから体を起こすと、部屋の空気が冷たくて、更にAが心配になった。
「……迎えいく。」
スウェットの上に、ダウンジャケットを羽織って、財布と車のキーをポケットに捩じ込んだ。
3度目のボーナスを貰った時、何時でも、何処にでも、Aを迎えに行く為に、迷わず買った車。
Aと出掛けるために運転できたら、どんなにいいだろう。
そう思いながら、今夜も、真夜中の街を走らせるんだ。
「みっくん……。」
「ん?」
スニーカーを履きながら、切れずにいたスマホから、泣きそうな声がオレを呼ぶ。
「……ごめん。」
「……ん。」
謝る理由は、きっと、Aがオレの気持ちを知っているから。
許すとも、許さないとも答えないオレは、利用されてもいいと思っているから。
「すぐ、行くから。」
切れたスマホを握り締めて、ドアを開ける。
深夜の静寂。
また、今夜も、キミのSOSが聞こえる。
オレに、キミを抱きしめる強さがあれば、同じベッドで、朝を迎えられるのかな……。
*end*
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植尾あい(プロフ) - はんちゃんさん» ありがとうございます!チャラみつとの約束が果たされたのか、確かに気になりますよね。何万人といるファンから、主人公ちゃんを見つけることができたのか……書いてみたくなりました!リクエストありがとうございます! (2019年2月12日 20時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
はんちゃん(プロフ) - はじめまして。どれも素敵です!!けど、チャラみつの「夜明けのキセキ」1ページにギュッと詰まってますね、1ページですごく惹き付けられました。上手く言えないけど、すごいですね!このエピソードで、話膨らませて続き読ませて欲しいです! (2019年2月10日 1時) (レス) id: 0785dd2a14 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ひよさん» 意地悪な玉森先輩、初めて書いたのでいじわる加減がわからず……でも、キュンとしてもらえてよかったです!卒業シーズンのソワソワと切なさに、自分でもキュンとしました(笑) 初めてTwitterでのメンバー投票だったのですが、私も楽しかったので、また、やります! (2018年3月9日 15時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - hitomin0921さん» 『好きか嫌いか……』シリーズは、メンバーとの距離感が難しくて、でも、切なくてキュンとするシチュエーションで、書いてる私もドキドキしてます(笑) きっと、横尾くんは、起きていたと思いますよねンフフ 他のメンバーも楽しみにしていて下さいね! (2018年3月8日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - はぁぁぁぁぁ玉森先輩好きです。玉ちゃんに一票投じたものです。幼なじみのお話だけど今の時期のお話で甘酸っぱくてキュンとしちゃいました。ちょっと続きを妄想しちゃいます! (2018年3月8日 22時) (レス) id: a35722cf0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2015年7月16日 22時