夜明けのキセキ《Ki》 ページ4
みっくんは、チャラいとか、遊んでそうとか、それが事実か確認する手段なんてない私たちファンは、やっぱり信じちゃうでしょ……。
「誰だよ……コレ。」
ブレブレの写真、しかも、モノクロ。
安そうなホテルから出てくるギャルと、みっくんモドキ。
ペラッペラな週刊紙を片手に、一人で呟けば、腹いせとストレス発散のために怒鳴るように歌い続けた四時間のカラオケが私の喉を潰していた。
「ゲホッ……喉、いったぁ……。」
うっすらと明けていく夜空が朝焼けに変わるのを人気の少ないコンビニの駐車場で眺めると、涙よりため息が出た。
「こんな安そうなホテル、使うわけないでしょ！」
みっくんモドキの映る、信憑性30％程度のページを握りつぶすように引きちぎると、駐車場に設置されたゴミ箱に勢いよく突っ込んだ。
「……… バカミツ、エ ロミツっ！」
ゴミ箱に暴言を吐いた瞬間。
「おいおいおいおい、ひでぇ言われようだな。」
「え？」
鼻にかかった独特の声が背後から背中に刺さった。
「え？………みっ………。」
振り返るとそこには、今、まさに暴言を吐いた相手が立っていた。
クリクリの目をイタズラに細めて、鼻の頭にシワを寄せて笑う。
「そーれーにー！」
呆然とする私に人差し指を突きつけて、まるで先生みたいに言った。
「オレのファンならその写真が本物かくらい分かれよ。」
強気な発言に、相手がアイドルだってことを忘れて腹をたてて、不貞腐れる。
「分かるけど確認しようがないんだもん。」
「オレのファンやめる？」
真面目な顔のみっくんが目の前で私のためだけに話してる。これは、夢？
何も答えない私に、「んーーー。」って、口をつぐんで暫く考えたみっくんが口の端を片方上げて笑った。
「次のライブくる？」
唐突な質問に、みっくんの意図が見えずに戸惑う。
ライブのチケットは、もう、手元にあった。
「行きますよ……。」
「じゃあさ？その時、うちわにでっかく自分の名前書いてきて？」
「は？」
「オレが必ず見つけてやるから。んで、とびきりのファンサするから。」
ふざけてるの？
それとも、ファン相手にナンパ？
微妙な気持ちでみっくんを見つめると、真剣な目で私を見ていた。
「オレのこと、信じて。」
駐車場に止めてある車から「北山さん、出発します。」って、声がした。
「………A。」
「よし。見つけてやる、A。」
彼が、私の名前を呼んで、朝日に消えた。
＊end＊
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植尾あい(プロフ) - はんちゃんさん» ありがとうございます！チャラみつとの約束が果たされたのか、確かに気になりますよね。何万人といるファンから、主人公ちゃんを見つけることができたのか……書いてみたくなりました！リクエストありがとうございます！ (2019年2月12日 20時) (
レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
はんちゃん(プロフ) - はじめまして。どれも素敵です！！けど、チャラみつの「夜明けのキセキ」1ページにギュッと詰まってますね、1ページですごく惹き付けられました。上手く言えないけど、すごいですね！このエピソードで、話膨らませて続き読ませて欲しいです！ (2019年2月10日 1時) (レス) id: 0785dd2a14 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ひよさん» 意地悪な玉森先輩、初めて書いたのでいじわる加減がわからず……でも、キュンとしてもらえてよかったです！卒業シーズンのソワソワと切なさに、自分でもキュンとしました(笑) 初めてTwitterでのメンバー投票だったのですが、私も楽しかったので、また、やります！ (2018年3月9日 15時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - hitomin0921さん» 『好きか嫌いか……』シリーズは、メンバーとの距離感が難しくて、でも、切なくてキュンとするシチュエーションで、書いてる私もドキドキしてます(笑) きっと、横尾くんは、起きていたと思いますよねﾝﾌﾌ 他のメンバーも楽しみにしていて下さいね！ (2018年3月8日 22時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - はぁぁぁぁぁ玉森先輩好きです。玉ちゃんに一票投じたものです。幼なじみのお話だけど今の時期のお話で甘酸っぱくてキュンとしちゃいました。ちょっと続きを妄想しちゃいます！ (2018年3月8日 22時) (レス) id: a35722cf0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：植尾あい
| 作成日時：2015年7月16日 22時
