キミのその手を その声を ページ38
「アラサー女子は、もっと、常識ある行動をとりましょう！
平日の、まだ、明るい時間ですよ！」
「……スミマセン。」
言われてみれは、確かに、こんな明るい時間に、誰かに見られる可能性のある場所。
思わず１歩後ろに下がると、ふんっ！て、わざとらしく鼻息荒く目の前を通って、当たり前のように私の部屋に入っていく。
その後ろ姿は、頼りがいのある優しい親友の背中で、何故か泣きそうになった。
ありがとう、真紀。
これからも、いっぱい叱ってね。
時々、甘えさせてね。
きっと、口に出したら『やめてよっ！』って、照れて、それから、泣いちゃうでしょ？
キュッと唇を噛んで、ニカを見ると、すごく優しい顔で笑って、ブレスレットの揺れる手で私の手を握った。
いつだって、私を包んで、優しく守ってくれようとするその大きな手。
ずっと、ずっと、離さないよ。
「だーかーらー！」
ニカの手を握り返した瞬間、再び、真紀の声が割って入るけど、今度は、ニカも私もその手を離さなかった。
手を繋いで玄関先に立つ私たちを、腰に手を当てて、真紀が呆れ顔で見て、大きなため息をついて言い放つ。
「そんなところでいちゃつくなんて、あんたたち、危機感なさすぎ！」
「スミマセン。ﾝﾌﾌ」
２人で声を揃えて謝って、でも、堪えられない笑いがこぼれる。
「もーーーー……、なんで、私がこんなに心配しなきゃいけないのよ。心配しすぎでハゲたら、A達のせいだからね！」
ブツブツ文句をいいながら、両手に紙袋をぶら下げて、リビングに消えていく真紀の後ろ姿に、もう一度、声を揃えて「スミマセーン。」って、謝って、顔を見合わせて笑う。
キミのその手が
私に触れてくれたら
キミのその声が
私の名前を呼んでくれたら
私は、いつだって笑顔でいられる
ねぇ、そうでしょ？
キミのその手を その声を
キミの全部
私に
ちょうだい？
見合わせた顔を、そっと、近づけて、優しいキスをする。
「好きだよ。ニカ。」
突然のキスと告白。
キョトンとしたニカが、笑顔になって、今度は、私にキスをくれる。
「大好きだよ。Aちゃん。」
小さく笑いあって、ゆっくりと指を絡めて手を繋ぎ直した時、
「だからっ！！！そういうところっ！」
リビングのドアから、顔だけ覗かせて真紀が叫んで、笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りな(プロフ) - こんにちは！昨日この作品を読み始めてハマってしまいもう読み終えてしまいました！あいさんの作品大好きです！もし差し支えなければkis soulのパスワードを教えていただきたいです！20歳のにかみつ担です！ (2020年1月21日 23時) (
レス) id: f006de2d90 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - kanonさん» kanonさん！何度も読み返していただけて感激です！こんな長い作品を夜中に一気読みとは、夜更かしさせてしまいましたね……ニカsideも、何度も読み返したくなる作品になるよう、頑張ります！ (2019年1月7日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
kanon(プロフ) - 何度読み直しても2人の空間にやられます！夜中に一気に読んでぼろぼろ泣いてしまいました。ニカのワンコ力、察知能力、優しさ、言葉…彼らしさがふんだんに盛り込まれてます。ニカサイドと交互に読んであちらの続きもお待ちしてます！ (2018年12月24日 2時) (レス) id: 21ebf13f97 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナツさん» 読み返してもらえて嬉しいです！ありがとうございます！個人的に北山くんと二階堂くんのやり取りを書くのがとても楽しくて好きなので、ミツ担さんにも好きになってもらえて感激です！北山くんと彼女もいつか書けたらなぁと思ってます！ (2018年8月4日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - 初めましてのコメント失礼致します。本当に本当に大好きな作品で事あるごとに読み返してます！あれ？私、ミツ担のはずでは！？と自分でも整理できない感情はどこへ向ければいいのでしょうか？笑個人的にはミツの彼女さんとの馴れ初めも気になります♪ (2018年8月3日 8時) (レス) id: 8a0cb53120 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：植尾あい
| 作成日時：2016年6月24日 7時
