急な訪問者 ページ37
「ねーねー!オレ、いいこと考えた!」
「何?」
「売り飛ばしたお金でさ、もう1個、クッション買おうよ!」
それは、私の部屋に、ニカの居場所を作る提案。
どこにもいかないって、約束。
でも、……でもね、ニカ。
「いらない。」
「え?」
冷静に断る私の声に、ニカが固まって、不安そうな顔をする。
だって、私には……
「……だって、特等席……あるか……ら。」
口に出しながら、自分の口も耳も塞ぎたくなるほど恥ずかしくて、小さくなって消えていく声。
自分で今すぐ穴掘って、その中に飛び込みたい位に、自分の言ったことを後悔しはじめた瞬間。
「…………もーーーー!」
突然、声を上げたニカに、ギュッと抱きしめられて、『うっ!』って、可愛げのない声が漏れて、息が出来なくてジタバタする。
「く……くるしぃ。ニカ。」
「どうしたの?!Aちゃん!可愛いんだけどっ?!」
褒めてるんだか、バカにしてるんだかわからないニカの言い方に、嬉しいやら恥ずかしいやらで、さらに、ジタバタしながら、言い返そうと顔をあげると
「はいはいはーーーい。」
聞き慣れた声が足音とともに近付いてきた。
ニカの背中に回そうとしていた手を引っ込めて、声のする方に二人同時に顔を向ければ、何とも言えない表情の真紀が、両手に駅前のカフェの紙袋をぶら下げて立っていた。
「えっ?!真紀?」
驚く私に、呆れ顔でため息をついて、それから、ニカを軽く睨む。
「あ……。」
途端に小さくなるニカは、まるで先生に叱られた小学生。
「ニカが言ったんでしょ?!突然押しかけて、Aを驚かせようって!何、勝手なことしてんのよ!」
「だって……」
「だってじゃないっ!」
「はい……、スミマセン。」
真紀がニカに詰め寄って、グッと迫る様にすると、大差ない身長に、ニカがキュゥっと身を縮める。
その姿に思わず吹き出すと、瞬時に矛先は、私へと向かう。
「Aもっ!!!」
「は、はいっ!」
その気迫に、背筋が伸びる。
そんな私を見て、今度は、ニカが笑いを噛み殺していた。
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りな(プロフ) - こんにちは!昨日この作品を読み始めてハマってしまいもう読み終えてしまいました!あいさんの作品大好きです!もし差し支えなければkis soulのパスワードを教えていただきたいです!20歳のにかみつ担です! (2020年1月21日 23時) (レス) id: f006de2d90 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - kanonさん» kanonさん!何度も読み返していただけて感激です!こんな長い作品を夜中に一気読みとは、夜更かしさせてしまいましたね……ニカsideも、何度も読み返したくなる作品になるよう、頑張ります! (2019年1月7日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
kanon(プロフ) - 何度読み直しても2人の空間にやられます!夜中に一気に読んでぼろぼろ泣いてしまいました。ニカのワンコ力、察知能力、優しさ、言葉…彼らしさがふんだんに盛り込まれてます。ニカサイドと交互に読んであちらの続きもお待ちしてます! (2018年12月24日 2時) (レス) id: 21ebf13f97 (このIDを非表示/違反報告)
植尾あい(プロフ) - ナツさん» 読み返してもらえて嬉しいです!ありがとうございます!個人的に北山くんと二階堂くんのやり取りを書くのがとても楽しくて好きなので、ミツ担さんにも好きになってもらえて感激です!北山くんと彼女もいつか書けたらなぁと思ってます! (2018年8月4日 17時) (レス) id: 2cc18cecc9 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - 初めましてのコメント失礼致します。本当に本当に大好きな作品で事あるごとに読み返してます!あれ?私、ミツ担のはずでは!?と自分でも整理できない感情はどこへ向ければいいのでしょうか?笑個人的にはミツの彼女さんとの馴れ初めも気になります♪ (2018年8月3日 8時) (レス) id: 8a0cb53120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:植尾あい | 作成日時:2016年6月24日 7時