83 ページ33
玄関の扉が開き、外から何者かが私の家に侵入してきた。
この人が、今週私を毎日のように付け回し、悩ませたストーカー…。
私は恐怖で頭を抱え、ジント君は傘を振り上げて、ストーカーめがけて勇敢にも踏み込んだ。
そして、ジント君が振り下ろした傘は、見事にストーカーの脳天に直撃し、そのストーカーは大きな悲鳴を上げた。
舜太「ぁ痛っああああああああああああ！！」
ジント「あ…」
「え…？しゅ、舜太？！」
―
ジント「舜太君…大丈夫…？」
舜太「痛い…もうあかん…俺、このまま死ぬんや…」
「んな大袈裟な…。そもそもあんたが悪いんでしょうが！！」
大きなたんこぶをさすりながら、私の弟、舜太は顔をしかめてソファーに横になっていた。
彼はいつの間にやら作っていた私の部屋の合い鍵を使って、どうどうと上がり込もうとしていたのだ。
舜太「可愛い弟が姉の部屋に来るんのどこが悪いことなんさ…」
「っていうか何で私の家の合い鍵なんか持ってるのよ！」
舜太「前に来たときに作った…。サプライズでまた来たろうと思って…」
サプライズにもほどがある。
どれだけ怖かったと思ってるんだ。
きっとジント君がいなかったら、私は卒倒していたかもしれない。
「付け回すようなことまでして…本当にもう…」
舜太「駅降りたらたまたま見かけて、驚かしたろうと思っただけやん…」
はぁ…。
今週ずっとストーキングされた気分になったのは、こいつのせいだったのか。
そんなことまでして一体この子は何しに来たんだ…。
「で？今度は何の用？いつまでいるの？」
舜太「冷たい言い方やなー。もうすぐクリスマスやから明日にでも一緒にクリスマスパーティーしようかなって思って！日曜の朝には帰るつもり！」
そっか。
もうすぐクリスマスなんだ…。
今日は22日の金曜日。
明日は土曜日で私も休みだし、それを狙って東京にわざわざ来たって訳か。
それにしても…。
「はあ？全くもう、毎日私をストーキングした挙句にクリスマスパーティーって、よっぽど暇なのね、あんた」
舜太「ん？暇なんは間違いないけど、毎日って何？俺、東京来たん今日やで？」
その言葉で、私とジント君は絵に描いたように冷や汗をかいて息をのんだ。
ちょっと待って。
それじゃあ、今週ずっと私が付けられていたのは？
舜太じゃないってこと？
じゃあ、あれは、一体…。
舜太「え？何？何で二人とも黙ってるん？おーい？」
拭いきれない不安と恐怖が、私の心に暗い影を落とした。
―
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 46人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
milkssss(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます！最後までお付き合いいただけると、嬉しいです！ (2020年2月25日 21時) (
レス) id: 81ca320fbb (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2020年2月25日 2時) (レス) id: f0de405ab0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：milkssss | 作成日時：2020年2月19日 15時
