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そういえば、ジント君って、私のこと、どう思ってるんだろう…。
前は、仲良くなりたいって言ってくれたけど、私に気を使ってくれただけかもしれないし…。
それに最近は家のこと全部やってもらっちゃってるし、ジント君のお世話をするつもりが、逆にお世話されちゃってるし…。
実は、ろくに面倒も見てくれない、ただの恩着せがましいおせっかいおばさんとか思われてたりして…。
そんなの、やだなぁ…。
はぁ…。
っていうか、私なんでこんなこと考えてるんだろう。
私の役目はジント君の記憶が戻るまで、ちゃんと不自由なく生活させてあげることなんだから。
私のことがどうこうなんて、関係ないじゃない…。
けれど、私の心はジント君を思い出すたびにぎゅっと締めつけられて、少し苦しくなった。
しかし、気分を切り替えて仕事に集中して少しでも業績を残さないと、今のお給料じゃなかなかジント君にもいい思いをさせてあげられない。
だから、頑張らないと。
そう思って、自分のデスクに腰かけ、パソコンを開き、キーボードを勢いよく叩いたその時。
珍しく私の部署に部長が入ってきて、同僚たちが立ち上がって挨拶する中、私も少し遅れて立ち上がり、部長に頭を下げた。
「おはよう皆。今日は、皆に紹介したい人がいるんだ。入ってきてくれ」
部長の言葉に促され、扉から一人の男性が入ってきた。
そんなはずない。
そう思ったんだけど、一瞬にしてそれが誰なのかわかってしまって、私の心は今年一番に激しく揺れ動いた。
「彼は昨日アメリカから帰国してきたばかりでな。さあ、もう皆よく知ってるとは思うが、一応自己紹介してあげてくれ」
「はい。皆さんお久しぶりです。山中柔太朗です」
そう、彼の名は山中柔太朗。
彼は以前この会社に勤めていて、同じ部署で働いていて…
そして―
私の元彼だった。
―
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作者名：milkssss | 作成日時：2020年2月17日 15時
