愛と合図【M!LK】 ① (ページ16)

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私はいつもだらだらと続ける仕事をさっさと終わらせ、定時を回ると誰よりも早く会社を飛び出した。
そして、速足で、いっそのこと走って私は自分の家に向かっていた。
早く帰って、ジント君のお世話をしてあげなきゃ。
彼は今頃何してるんだろう。
今朝、家を出る前―。

「私は仕事に行ってくるけど、家の中のものは何でも好きなように使っていいからね！あ、でも使い方の分からないのは触っちゃだめよ？危ないから！明日からちゃんとするけど、今日はごめんなんだけど、ご飯は一応カップラーメンがあるからそれ食べていいから！でも、夜はちゃんとしたもの作るから楽しみにしててね！」

と、いって仕事に向かったのだ。
だから、早く帰らなくっちゃ。
おっと、その前にスーパーで買い物をしておかないと。
今朝はジント君に作ってもらっちゃったから、今晩は私がご馳走を作ってあげなきゃね。
って言っても、そんなに得意なわけではないし、最近は作るのも面倒であんまり作ってなかったけど。
それでも、久々に腕が鳴りそう！
なんて考えていると、ついついいろんなものを買いすぎてしまった。
でも、もしかしたら美味しいものを食べてジント君が笑顔になってくれるかもしれないって考えると、そんなの些細なことのように思えた。
会計を済ませた私は、またしても足早に帰路についた。
そして、マンションについた私は浮き立った足で自分の部屋の鍵を開けた。

「ただいまー」

…。
しかし、反応はない。
いつもならバンビが尻尾を振って駆け寄ってくるのに、それもない。
リビングの方の扉の擦りガラスの向こうには明かりもついてない。

「あれ？」

も、もしかして、何かあったんじゃ？！

私は一気に不安になり、買ってきた荷物をほっぽり出してリビングに駆け込んだ。

やっぱり、彼一人にするのは早かったかな…。
私の馬鹿…。
なんでもっとちゃんと考えなかったのよ…。

後悔が押し寄せてくる。
だけど、後悔先に立たず、とはよく言ったものだな…。

でも、私の目の前に広がる光景は、思っていたのとは少し違った。
電気の付いていない真っ暗なリビングでは、バンビを抱きかかえて、テレビの前で座り込むジント君の姿があった。